中国、オンラインゲームの新規制案公表 利用者の支出抑制狙う
12月22日、中国の国家新聞出版署は、オンラインゲームに関する包括的な規制案を公表した。写真は2019年5月撮影(2023年 ロイター/Florence Lo)
Josh Ye
[香港 22日 ロイター] - 中国の国家新聞出版署は22日、オンラインゲームに関する包括的な規制案を公表した。ユーザーに利用を促すリワードと呼ばれるインセンティブや利用者の支出を制限することが目的で、ゲーム市場に打撃となる。
中国政府は、若年層の「ゲーム中毒」を懸念し、未成年がビデオゲームを楽しむ時間に一定の制限を設けたり、新規ゲームの認可を一時中断したりした。こうした取り締まりは昨年、正式に終了し、ゲーム認可手続きも再開したが、ユーザーへの課金を抑制する措置は取っていた。
22日発表された規則案では、毎日のログイン、初めての課金、連続での課金などへのリワード提供といったオンラインゲームで一般的な慣行を禁じる。ユーザーがゲーム内でデジタルウォレットにチャージできる金額にも制限を設けるよう命じた。
「ガチャ」と呼ばれる有料のくじを未成年に提供することを禁止したほか、ゲームアイテムのオークションを防ぐよう求めた。
ユーザーデータの管理に対する懸念からゲーム会社にサーバーを国内に置くことを義務付けた。
一方で、ゲームの承認を60日以内に処理することも盛り込まれた。
来年1月22日まで一般から意見を募集する。
発表を受け、ゲーム会社の業績への影響を巡り懸念が広がり、香港株式市場で世界最大のゲーム会社である騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の株価は一時16%下落。同業のネットイースも一時25%急落した。
欧州時間になり、テンセント株を26%保有するテック投資家のプロサスも序盤で14.2%下落した。
テンセントのゲーム部門幹部は、規制の要件を厳格に履行していくと述べた。発表された規則案については、ゲーム企業が妥当なビジネスモデルを持つことを目指す当局の方針から逸脱するものではないとの認識も示した。そのうえで、未成年のゲーム中毒問題が当局の重要課題になった2021年以降、自社のゲームに未成年者がかける金額や時間はこれまでよりも低水準にとどまっていると説明した。
大華継顕(UOB Kay Hian)の機関投資家営業担当エグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏は「規制そのものが問題ではなく、政策リスクが大きすぎる」と指摘。「この種のリスクはもう終わったと考えられ、ファンダメンタルズに目を向けるようになっていたため、信頼感を大きく傷つけることになる」と指摘した。
モーニングスターのアナリスト、アイバン・スー氏は1日当たりのアクティブユーザー数が減少したり、アプリ内課金による収入が減ったりする公算が大きいと述べた。「ゲーム会社はゲームのデザインや収益戦略の見直しを迫られる可能性がある」との見方を示した。
ある業界幹部は新規則について、新たな取り締まりではなくゲーム業界健全化の取り組みの一環だとし、市場は過剰に反応していると述べた。