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ピレネー山脈貫くガス管、スペインが仏の消極姿勢けん制

8月30日、欧州のロシア産天然ガス依存を減らすため、イベリア半島と欧州中部をつなぐパイプラインを敷設する案を巡り、スペインの閣僚は30日、同案に消極的なフランスの姿勢に疑問を呈した。写真はガスコンロ。フランスのヴェルトゥで6月撮影(2022年 ロイター/Stephane Mahe)
[マドリード 30日 ロイター] - 欧州のロシア産天然ガス依存を減らすため、イベリア半島と欧州中部をつなぐパイプラインを敷設する案を巡り、スペインの閣僚は30日、同案に消極的なフランスの姿勢に疑問を呈した。フランスの閣僚は同日、計画が示されれば検討する構えを示した。
ロシアが31日から3日間、主要パイプラインを通じた天然ガス供給を止めると表明したことで、欧州各国はエネルギー確保をさらに急ぐ必要に迫られている。
大規模な液化天然ガス(LNG)輸入能力を備えたスペインとポルトガルから、ピレネー山脈を貫いて欧州中部に天然ガスを輸送するパイプラインは一部建設済みだが、2019年に工事が中止されていた。
ドイツのショルツ首相は今月、ポルトガルからスペイン、フランス経由で欧州中部に天然ガスを輸送するパイプラインがあればエネルギー危機が和らぐと指摘。これに対してフランスは、パイプラインは現在のエネルギー危機への対応に間に合わないとし、欧州北部や東部、特にドイツにLNGターミナルを新設する方が、コストが安くスピードも速いとの考えを示していた。
リベラ第3副首相兼環境保護・過疎対策相はラジオ番組で建設再開案について問われ、2019年時点では採算が合わなかったが、現在は天然ガス不足に陥った欧州中・北部への重要な輸送手段になると指摘。「問題は、これがフランスの国益、または欧州中部と北部の利益にかなっているかどうかだ」と述べ、消極姿勢のフランスをけん制した。
フランスのルメール経済・財務・復興相は30日、記者団に対し、同国は敷設を排除していないと明言。「スペインとドイツはフランスと非常に近いパートナー国だ。従って両国が提案すれば、われわれは検討する」と述べた。
一方、同日会談したショルツ首相とスペインのサンチェス首相はともに敷設を呼びかけたが、フランスを批判することは避けた。
リベラ、サンチェス両氏は、欧州連合(EU)がパイプライン建設費を支払うべきだとの考えを繰り返し示している。