ニュース速報

ワールド

英国、EU離脱協議開始 担当相「建設的かつ前向きに」交渉

2017年06月20日(火)10時53分

 6月19日、英国と欧州連合(EU)の交渉団が、同国の離脱を巡る協議を開始した。写真は英国のデービス欧州連合(EU)離脱担当相。(2017年 ロイター/Francois Lenoir)

[ブリュッセル 19日 ロイター] - 英国と欧州連合(EU)の交渉団が19日、同国の離脱を巡る協議を開始した。双方は過程における不明点を早急に解決することが必要だとし、建設的な態度が双方にとって良い結果につながることを強調した。

EU側の交渉担当者を務めるミシェル・バルニエ氏(フランス元外相)は会見に臨み、英国の国民投票から約1年を経て始まった離脱協議で交渉スケジュールを確立したいと主張。「まずは、英国のEU離脱(ブレグジット)に端を発する不透明感を解決しなくてはならない。これは住民だけでなく、EU政策により恩恵を受ける人や、アイルランドなどの国境への影響のためだ」と述べた。

同氏はさらに「本日、優先順位とタイムテーブルを決定し、交渉を建設的に開始することを今週後半に欧州委員会へ報告できるよう望んでいる」と話した。

また「時間は限られている」としながらも、秩序だった離脱がEUと英国双方にとり重要で、双方にとり公平な合意は可能との見方を示した。

英国のデービスEU離脱担当相は、同国政府はEUとの深く特別な関係を求めていると主張。「われわれを分断するものより結びつけるものの方が多い。交渉では疑いようもなく、難しい時間が予想されるが、すべての住民に最善をもたらす取り決めができるよう力を尽くす」と述べた。そして「そのために、交渉は前向きで建設的な基調で始める」とした。

声明によると、10月までの交渉は市民権、金融決済および他の離脱に関する事項に集中して実施。アイルランド問題を巡る交渉は別途行う。

今後の協議については、7月17日、8月28日、9月18日、10月9日に始まる週に実施するすることで合意した。

バルニエ氏は来年10月までに合意できるとの見方を表明。ただ合意が得られなかったとしても英国は2019年3月30日にEUから離脱する。

一方、EU当局者は、英国が離脱時の債務残高についてEUと金銭的解決を行うことに合意しなかったと初日の交渉後に明かした。

当局者は「英国は離脱に伴う費用の法的根拠に疑問を持っている」と述べた。

当局者によると、EUは、英国が加盟国である間に発生する将来のEU予算拠出分の一部として、英国に対し100億ユーロを請求する可能性があるという。

支払いに関する相違を狭めることは、今後の交渉において大きな試練になるとの見方を示した。英国とEUは19日、この件について交渉担当者によるワーキング・グループを設立することで合意した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ファイザー、肥満症経口薬の開発を中止 肝障害誘発

ワールド

EU、パレスチナ自治政府への資金援助拡大 改革促す

ビジネス

米S&P500種で「デスクロス」出現、必ずしも不吉

ビジネス

EXCLUSIVE-日産、米国向け「ローグ」日本で
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中