信越化、4―6月期は13%営業減益予想 大規模自社株買いへ
Ritsuko Shimizu
[東京 25日 ロイター] - 信越化学工業は25日、2025年4―6月期の連結営業利益が前年同期比13.1%減の1660億円になるとの見通しを発表した。生活環境基盤材料の減益が大きいほか、電子材料も下振れているという。26年3月期通期については、通商問題とその影響、為替変動などが見通せず、現時点で合理的な算定が困難として開示を見送った。
斉藤恭彦社長は会見で通期見通し開示を見送った理由について「米関税と関係国の対応、米国の信認の揺らぎが変動要因」と説明した。今期については、四半期ごとの開示も検討するという。
IBESがまとめたアナリスト19人のコンセンサス予想では、26年3月期通期の連結営業利益の平均値は8156億円だった。
同社の売り上げに占める米国の割合は約30%、そのうち80%強が米国で生産されている。米国向け輸出で適用除外になっているものは70%近くあり、現段階で関税対象となっているのは2%弱だという。追加関税分については自社での負担とはせず、顧客負担との方針で取り組んでいることを明らかにした。
半導体事業を担当する轟正彦専務は「相対的にはAI関連の需要堅調とそれ以外の調整という2極化が続いている」と指摘。1―3月期のシリコンウエハーは前四半期比9%減だったが、足元で複数のデバイスメーカーから受注が底を打ったとの声が出てきているという。ただ、高関税がかかり世界経済に悪影響が及べば、景気連動が強い半導体も影響は避けられないとの見方を示した。
25年3月期の連結営業利益は前年比5.9%増の7421億円で、会社予想の7350億円から上振れた。半導体市場の回復は用途・分野によりまだら模様の中、伸びている市場に向けてシリコンウエハー、フォトレジストなどの半導体材料を出荷することに注力した結果、半導体関連材料を含む電子材料事業は19%の営業増益となった。一方、生活環境基盤材料事業は同9%減益だった。下期は塩化ビニルの値上げが地域によってまちまちになったという。
同日、発行済み株式の10.2%に当たる200万株・5000億円を上限とする自社株買いを発表。取得期間は5月21日から2026年4月24日。配当性向は40%を目安にしているとした。