ニュース速報
ビジネス

米カーライル、牧野フライスと対抗案を協議 ニデックのTOBに=関係者

2025年04月18日(金)15時24分

 ニデックから同意なき買収提案を受けた牧野フライス製作所が、米投資ファンドのカーライル・グループと対抗案を協議していることが分かった。都内で2018年10月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki

[東京 18日 ロイター] - ニデックから同意なき買収提案を受けた牧野フライス製作所が、米投資ファンドのカーライル・グループと対抗案を協議していることが分かった。ニデックはすでに株式公開買い付け(TOB)を始めており、カーライルは米国の関税政策が景気に与える影響などを見極めながら話し合いを進める考え。事情を知る関係者4人が明らかにした。

牧野フのホワイトナイト(友好的な買収者)にはアジア系投資ファンドのMBKパートナーズと日本産業推進機構(NSSK)が名乗りを上げていたことが、関係者1人の話で分かっている。ただ、3人の関係者によると、NSSKはすでに撤退。カーライルとMBKの2社が候補となっている。

関係者の1人は、カーライルが有力候補と説明。一方、カーライルはトランプ米政権の関税の影響を注視しており、正式に提案をするかどうかは不透明と話す関係者もいる。

関係者3人によると、両社が正式な買収提案を行うかどうかは明らかではない。

カーライルと牧野フライス広報担当者はコメントを控えた。NSSKはコメントを要請したものの回答がなかった。

ニデックでM&A(合併・買収)の責任者を務める荒木隆光専務はロイターの取材に対し「もしこのケースで失敗すれば、日本のM&Aと資本市場の発展はさらに10年、20年遅れるだろう」と指摘。「我々は完全に戦略的だ」とし、今回の買収の目的は企業価値の拡大と雇用の増加だとした。

工作機械事業を強化するニデックは昨年12月、牧野フに買収を提案したと発表。4月4日から1株1万1000円で株式を公開買い付け(TOB)するとした。事前協議がないままの発表を受け、牧野フは詳細な説明とTOB開始の延期をニデックに求めるとともに、2月末までに複数の第三者から完全子会社化を目的とした買収の初期的な意向表明書を受け取っていることを明らかにしていた。

ニデックは牧野フの延期要請に応じることなく、今月4日からTOBを開始した。牧野フは10日の取締役会で、株主利益を害する恐れがあるとしTOBに反対する意見表明を決議した。ホワイトナイトの候補から競合提案の意向表明書があった場合には、ニデックによるTOBと比較・検討し、意見表明を必要な範囲で修正するとした。

同時に牧野フは、新株予約権を既存株主に無償で割り当てるTOB対抗策を導入することを決めた。6月の定時株主総会に諮るが、ニデックは対抗策の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。

(清水律子、山崎牧子、Anton Bridge、浦中美穂 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中