米カーライル、牧野フライスと対抗案を協議 ニデックのTOBに=関係者

ニデックから同意なき買収提案を受けた牧野フライス製作所が、米投資ファンドのカーライル・グループと対抗案を協議していることが分かった。都内で2018年10月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki
[東京 18日 ロイター] - ニデックから同意なき買収提案を受けた牧野フライス製作所が、米投資ファンドのカーライル・グループと対抗案を協議していることが分かった。ニデックはすでに株式公開買い付け(TOB)を始めており、カーライルは米国の関税政策が景気に与える影響などを見極めながら話し合いを進める考え。事情を知る関係者4人が明らかにした。
牧野フのホワイトナイト(友好的な買収者)にはアジア系投資ファンドのMBKパートナーズと日本産業推進機構(NSSK)が名乗りを上げていたことが、関係者1人の話で分かっている。ただ、3人の関係者によると、NSSKはすでに撤退。カーライルとMBKの2社が候補となっている。
関係者の1人は、カーライルが有力候補と説明。一方、カーライルはトランプ米政権の関税の影響を注視しており、正式に提案をするかどうかは不透明と話す関係者もいる。
関係者3人によると、両社が正式な買収提案を行うかどうかは明らかではない。
カーライルと牧野フライス広報担当者はコメントを控えた。NSSKはコメントを要請したものの回答がなかった。
ニデックでM&A(合併・買収)の責任者を務める荒木隆光専務はロイターの取材に対し「もしこのケースで失敗すれば、日本のM&Aと資本市場の発展はさらに10年、20年遅れるだろう」と指摘。「我々は完全に戦略的だ」とし、今回の買収の目的は企業価値の拡大と雇用の増加だとした。
工作機械事業を強化するニデックは昨年12月、牧野フに買収を提案したと発表。4月4日から1株1万1000円で株式を公開買い付け(TOB)するとした。事前協議がないままの発表を受け、牧野フは詳細な説明とTOB開始の延期をニデックに求めるとともに、2月末までに複数の第三者から完全子会社化を目的とした買収の初期的な意向表明書を受け取っていることを明らかにしていた。
ニデックは牧野フの延期要請に応じることなく、今月4日からTOBを開始した。牧野フは10日の取締役会で、株主利益を害する恐れがあるとしTOBに反対する意見表明を決議した。ホワイトナイトの候補から競合提案の意向表明書があった場合には、ニデックによるTOBと比較・検討し、意見表明を必要な範囲で修正するとした。
同時に牧野フは、新株予約権を既存株主に無償で割り当てるTOB対抗策を導入することを決めた。6月の定時株主総会に諮るが、ニデックは対抗策の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
(清水律子、山崎牧子、Anton Bridge、浦中美穂 編集:久保信博)