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円債を1100億円積み増し、日銀の利上げ年度内2回想定=富国生命・25年度運用計画

2025年04月18日(金)14時25分

 4月18日、富国生命保険は2025年度の一般勘定資産運用計画で、円建て公社債を1100億円積み増す方針だ。写真は円紙幣。2022年9月撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)

Hiroko Hamada

[東京 18日 ロイター] - 富国生命保険は2025年度の一般勘定資産運用計画で、円建て公社債を1100億円積み増す方針だ。金利水準を見極めながら低金利の債券を売却しつつ、相対的に利回りの高い超長期債を積み増す計画。日銀の金融政策については年度内に2回の利上げを想定し、年度末の10年国債利回りは1.70%、20年債利回りは2.40%を予想する。

一方、外貨建て公社債は積み増しを行わず、償還再投資にとどめる計画。財務企画部長の森実潤也氏が16日、ロイターとのインタビューで述べた。

円建て公社債は、24年度(見込みベース、以下同)は100億円の減少となった。超長期債を中心とした日本国債(ソブリン)が350億円減少、クレジットは250億円増加となった。一方、25年度はソブリンを300億円、クレジットを800億円、それぞれ増やす計画。

森実氏は「異次元緩和の超低金利下では投資を控えてデュレーションマッチングも行っていなかったため、負債に比べて資産サイドのデュレーションが短く、公社債の含み損も相対的に小さい。超長期債を買い入れる余地は十分にある」と述べた。

日銀の利上げは年度内2回を想定する。米国の関税政策を受けて日銀は動きづらい状況だが、米関税が日本経済に与える影響を見極めながら日銀は利上げ時期を調整していくだろう、という。

外貨建て公社債は、24年度は100億円の増加となった。為替ヘッジは行わず、円高が進んでも収益性を確保できる米国の超長期債を積み増した。内訳は、ソブリンが200億円増加、クレジットが100億円減少となった。今年度は積み増しは行わず、ソブリンは300億円減らし、クレジットは300億円増やす見込み。ポートフォリオの収益性を高めるためソブリンの償還分の一部をクレジットに振り分けるという。

米国の金融政策については、年度内1回の利下げを想定する。トランプ米大統領は関税措置を取りつつも、米国の物価や消費に大きな打撃となる政策は避けるとみられ、現時点では米国の景気後退をメインシナリオとしていないという。

為替動向は年度末に1ドル=145円を予想する。瞬間的にドルが130円程度まで円高が進む可能性はある一方、日本の貿易収支の赤字など構造的に円安方向に振れやすい要因もあり、急激に円高に振れるリスクは低いと見込んでいる。

エクイティ資産は、24年度に700億円増加した。内訳は国内株が400億円、PE(プライベート・エクイティ)ファンドなどのオルタナティブ資産が250億円、不動産が50億円それぞれ増加し、外国株は横ばいとなった。今年度は外国株を200億円、オルタナティブを300億円増やす計画。国内株は残高を横ばいとする予定だが、足元の株価下落を受けて日本株を買うチャンスもあるとして、「相場の変動に合わせて柔軟に対応し、内外株式合わせて200億円増やす予定」(森実氏)だという。年度末の日経平均は3万8000円を見込んでいる。

富国生命保険は1日、中期経営計画『THE MUTUAL ACT 2027』を策定し、27年度に利差益1000億円を目指す方針を示した。国内金利の上昇が見込まれる中でALM(資産・負債の総合管理)運用により収益を高めつつ、リスクテイクも継続し高収益が期待できる投資を推進するという。

*25年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.90―2.00%(年度末1.70%)

日本国債20年物利回り 1.60―2.80%(同2.40%)

米10年債利回り    3.40─5.60%(同4.60%)

日経平均        2万9000─4万5000円(同3万8000円)

米ダウ         3万4000─5万1000ドル(同4万4000ドル)

ドル/円        130―162円(同145円)

ユーロ/円       140―175円(同157円)

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