インタビュー:半導体材料の業界再編「方針変わらず」、自動車も企業過多=JIC社長

4月1日、 政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)の横尾敬介社長(写真)はロイターとのインタビューで、昨年買収したJSR(東京都港区)を中核に半導体材料業界の再編を主導することに改めて意欲を示した。都内で3月28日撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Miho Uranaka David Dolan
[東京 1日 ロイター] - 政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)の横尾敬介社長はロイターとのインタビューで、昨年買収したJSR(東京都港区)を中核に半導体材料業界の再編を主導することに改めて意欲を示した。自動車や化学業界も国内に企業が多すぎると指摘した。
日本の半導体材料産業は国際競争力が高いがそれぞれ企業規模が小さく、JSRは非上場化後にJICとともに業界再編を主導していくと表明していた。JSR自身の業績が悪化し、今は立て直しを優先しているが、横尾社長は「再編の方針は変わっていない」と強調。「大中小取り混ぜてやっていこうということで常に意識しながら、社内では検討している」と説明した。
横尾社長は、買収対象企業の規模感を問われ、同じフォトレジスト(感光材)を手掛ける東京応化工業などの名前を挙げたほか、三菱ケミカルグループやレゾナック・ホールディングスなどとも「どうするかという話はそのうち出てくるかもしれないが、現時点では特にない」と話した。半導体の技術革新が速いことから「(再編の)最終的な姿がどうなるかはまだなかなか想定できない」としつつ、「少なくとも投資額に対して1.5倍以上の価値を生みたい」との認識を改めて示した。
JSRを約9000億円で買収したJICは現在、ライフサイエンス事業の構造改革を進めている。買収後に取締役を派遣し、実際に各工場を視察して分析した結果、主力の半導体材料ではなくライフサイエンス事業に課題があることが分かったという。横尾社長は「蓋を開けてみると考えていたことと事情がだいぶ違った」と話す。
4月からは非上場化を進めたエリック・ジョンソン氏に代わり、東京エレクトロンで最高財務責任者(CFO)などを歴任した堀哲朗氏がJSRの社長に就任する。2期連続の最終赤字になる見通しのライフサイエンス事業は、26年3月期の黒字化を目指している。
<日産の再生支援>
横尾社長は、業績が悪化している日産自動車の再生支援について打診があったことも明らかにした。「産業競争力強化のためのエクイティマネー(資本性資金)を出す用意はあるが、再生はしない」のがJICの方針だとした上で、「元気になってから相談にきてほしいと伝えた」と述べた。
一方で、国内の自動車業界は企業が多すぎると指摘。これは化学業界にも当てはまるという。
一般的に日本には競争力はあるが企業規模が比較的小さい「グローバルニッチの企業が多い」とした上で、「企業規模を大きくして数を減らしていく。その世界のマーケットで、ある種の存在感が示せる規模にしていくことは大事」と重ねて強調した。 JICは関わっていないものの、セブン&アイ・ホールディングスがカナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案されていることにも言及。仮に日本政府が安全保障の観点から買収を阻止した場合、「あまり良いイメージではない」という。
経済安全保障の観点だけではリターンを回収することができないとして「結果として経済安全保障につながるものはあるかもしれないが、経済安全保障があるから投資を決めるということはない」との方針も示した。
JICは2018年に政府が設立した官民ファンドで、日本企業の成長支援や産業競争力の強化などの政策目的を達成するための投資を手掛ける。
(浦中美穂、David Dolan 編集:久保信博)
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