トヨタなど5社の北米輸出、2月は4.5%減 関税前の駆け込み見られず

米国市場を主力とする日本の乗用車メーカー5社が28日発表した2月の北米輸出は、前年同月比4.5%減の10万4149台だった。写真は、輸出を待つSUBARUの新車。3月27日、横浜港で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Maki Shiraki
[東京 28日 ロイター] - 米国市場を主力とする日本の乗用車メーカー5社が28日発表した2月の北米輸出は、前年同月比4.5%減の10万4149台だった。この時期はトランプ米政権による自動車関税の引き上げが取りざたされていた。各社で濃淡はあるものの、全体として駆け込み的に日本から米国へ輸出を増やす動きは見られなかった。
トヨタ自動車の対米輸出は前年同月比1.7%減だった。同社は日本からスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」などを米国に輸出している。トヨタ広報は関税発動前に米国への輸出を増やして米国内の在庫を厚くするといった対策は特に講じていない、と説明した。
米国販売の半分以上を日本から輸出するマツダは、日本から北米への輸出が同4.8%増だった一方、日本から欧州への輸出は同32.3%減だった。同社は北米販売が好調で、欧州はクロスオーバーの「CX━5」の販売が減ったためと説明。「各市場での需要に応じた結果。関税を考慮して意図的に前倒しで欧州向けを北米向けに振り向けてはいない」とした。
日産自動車の日本から北米への輸出は同34.3%減だった。販売が苦戦している米国での生産も同21.4%減少した。同社は「関税を意識した出荷・在庫調整はない」としている。対米輸出拠点のメキシコでの生産は同7.2%増えたが、米国向けの駆け込み生産ではなく、SUV「キックス」の新型車の生産が押し上げた。
米国販売の約7割を日本から輸出する三菱自動車の北米への輸出は同15.9%増加したが、同社は関税発動を意識した駆け込み的な動きではなく、SUVの新型「アウトランダー」のガソリン車を新たに投入したことが寄与したとしている。
ホンダはアジアを除く主要市場向け全てで輸出が前年同月から減少。米国向け輸出は同14.8%減だったほか、米国における生産も同5.9%減だった。
米国の販売台数が全体の7割を占めるSUBARUは、仕向け地別の輸出台数を公表していない。2月の輸出台数は同25.4%増加した。
財務省が28日に発表した2月の貿易統計(輸出確報)によると、バスとトラックを含めた自動車の輸出は前年同月比2.9%増の12万3445台だった。金額ベースでは同13.9%増の5522億円と2けた伸長した。
(白木真紀 編集:久保信博)