米輸入車関税、自国消費者に「コスト」 価格上昇や選択肢減少

3月28日、トランプ米大統領が発表した輸入車への25%の関税賦課について、業界専門家は、大手自動車メーカーにはさまざまな対処法があるが、それが消費者には価格の上昇、選択肢の減少、機能の制限といった形で波及すると指摘する。写真はカリフォルニア州サンディエゴで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Nick Carey Kalea Hall
[ロンドン/ホワイトレイク(ミシガン州) 28日 ロイター] - トランプ米大統領が発表した輸入車への25%の関税賦課について、業界専門家は、大手自動車メーカーにはさまざまな対処法があるが、それが消費者には価格の上昇、選択肢の減少、機能の制限といった形で波及すると指摘する。
英高級車アストンマーティンのトップを務めたアンディ・パーマー氏は、「ほとんどの自動車メーカーは25%(の関税)を吸収できない。メーカー各社は関税コストをできるだけ転嫁することになる」と述べた。
自動車メーカーは、関税コストを米国生産車と輸入車に分散させ、機能を減らし、場合によっては初めて車を購入する人向けの価格の手頃なモデルの販売をやめる可能性もある。そうなれば米国での販売は減少が予想される。
S&Pグローバル・モビリティは27日、2024年は1600万台だった米国の自動車販売台数が、関税の影響で今後数年間に1450万─1500万台に減少すると予想。コックス・オートモーティブは、米国生産車には3000ドルのコストが上乗せされ、カナダやメキシコで生産される車は関税が免除されなければ6000ドルのコストが追加されると試算する。
ベントレーやフェラーリといった高級車メーカーは関税コストを転嫁する方針を示している。大手自動車メーカーのマージンはおおむね6─8%でコストを吸収する余力は乏しい。
コックスのエグゼクティブアナリスト、エリン・キーティング氏は、最も影響を受けそうな手頃な価格のモデルとして、ホンダのCR-VやHRーV、スバルのフォレスター、シボレーのトラックスやエクイノックスを挙げた。米国外で生産された価格が手頃な車種を中心に価格が上がると予想した。
キーティング氏によると、コロナ禍で自動車購入人口は10%減った。今回の関税でさらに10%減少する「可能性がある」という。
パーマー氏は、最大の輸出先を奪われた欧州やアジアのメーカーは生産を縮小する可能性があると指摘する。工場での生産が縮小すれば1台あたりのコストが上がり、「最終的に消費者に転嫁される」という。
米国の自動車ディーラーは現在、約90日分の在庫を抱えているが、在庫を売り切った後は価格が上昇し始める可能性がある。ミシガン州ホワイトレイクのジープのディーラーの営業責任者によると、ここ数週間、値上がりを見越して購入する顧客が増えているという。
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