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日産とホンダ、統合協議の打ち切り決定へ きょう決算発表

2025年02月13日(木)07時25分

 2月13日、日産自動車とホンダは、2024年4─12月期決算を発表する。それぞれが同日に取締役会を開いて決算内容を承認するほか、複数の関係者によると、経営統合協議の打ち切りを正式に決議する見通しだ。都内で2024年12月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Maki Shiraki

[東京 13日 ロイター] - 日産自動車とホンダは13日、2024年4─12月期決算を発表する。それぞれが同日に取締役会を開いて決算内容を承認するほか、複数の関係者によると、経営統合協議の打ち切りを正式に決議する見通しだ。両社とも同日午後の決算会見で、交渉が不調に終わった経緯や生き残りに向けた今後の方針をどう説明するのかが注目される。とりわけ業績が落ち込む日産は、足元の販売がどう推移しているのか、破談の一因となった再生計画の実効性を具体的に示せるかも焦点となる。

複数の関係者によると、日産は5日の取締役会でホンダとの統合協議を白紙に戻すことを確認。6日に内田誠社長がホンダ本社を訪れ、三部敏宏社長に伝えた。ホンダは昨年12月からの交渉の過程で日産が示した再生計画の実効性に確信を持てず、持ち株会社方式による経営統合ではなく、最終的に子会社化案を打診。日産社内で反発が強まった。

両社はもともと1月末までに経営統合の可能性の方向性を示すとしていたが、現在は発表のタイミングを2月中旬に延期している。

日産は昨年11月に発表した24年4─9月期決算で、連結純損益が前年比93.5%減少した。米国と中国で販売が低迷したためで、年間500万台程度ある生産能力を20%削減し、人員も約9000人減らすリストラ策の大枠を同時に発表した。費用の算定が困難として、当初3000億円を見込んでいた25年3月期の純損益予想を取り下げた。IBESがまとめたアナリスト10人の予想平均は960億円の赤字となっている。

これまでに明らかになったリストラ策には、米国3工場を対象に4月から実施する早期退職募集があるが、日産は想定している人員・生産能力削減の規模を公表していない。米国では昨年上期にも早期退職を募ったが、「従業員数の約6%、数百人規模が応じた」とするにとどまり、詳細を公表していない。

東南アジア最大の生産・輸出拠点であるタイでは、2つある完成車工場での生産を一部集約し、従業員約1000人について、今秋までに人員削減と配置転換を実施する方針を固めたが、これも削減数と配置転換数の内訳を公表していない。

ホンダも連結の業績は堅調ながら、支えているのは年間の営業利益率が10%以上の二輪車事業。四輪車の利益率は5%未満にとどまる。ホンダが公表している25年3月期の連結営業利益予想は1兆4200億円で、IBESがまとめたアナリスト20人の予想平均の1兆4390億円をやや下回っている。

両社とも生き残りに向けて検討した統合協議の継続が難しくなったことを受け、他のパートナーを探すことが求められる。自動車の電動化と知能化が進む中、とくにソフトウエアへの投資は莫大で、「単独で生きていくのは難しい」(日産関係者)というのが内燃機関を主力とする伝統的な自動車メーカーの認識だ。

日産には台湾の受託生産大手、鴻海精密工業が関心を示している。同社の劉揚偉会長は12日、台北の本社で記者団に対し、「日産株取得は目指していない」とし、目指すのは「協業であり、買収ではない」と発言した。日産株式を保有する仏ルノーとも協業について話していると明かした。

日産の提携先候補としては、電気自動車(EV)専業のテスラ、EV対応の強化を表明しているグーグル、中国EVメーカーが自動運転システムに技術を採用する半導体大手エヌビディアといった米国企業の名前も一部で報じられている。

このほか、統合協議を打ち切ることに伴って費用が発生するのかどうかも関心が集まる。昨年12月に結んだ統合の検討に向けた基本合意では、両社は独占交渉義務を負い、第三者との提携などの手続きが完了した場合は、合意の解約手数料1000億円を相手に支払う必要があると規定されている。両社が協議打ち切りで合意した場合には支払い義務は生じない。

販売低迷で資金が流出する日産の財務状況、統合協議入りを受けてホンダが設定した1兆1000億円の自社株買い枠の扱いにも株式市場関係者は注目している。

(白木真紀 編集:久保信博)

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