経済・物価見通し実現なら政策調整、良い道筋へ努力=氷見野日銀副総裁
1月30日、日銀の氷見野良三副総裁(写真)は一橋大学政策フォーラムで講演し、先行きの金融政策運営について、経済・物価を巡る日銀の見通しが実現していくとすれば「それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べた。写真は2023年6月、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takahiko Wada
[東京 30日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は30日、一橋大学政策フォーラムで講演し、先行きの金融政策運営について、経済・物価を巡る日銀の見通しが実現していくとすれば「それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べた。「良い道筋をたどれる可能性をできるだけ高くできるよう、適切な政策運営に努めていきたい」とも話した。
日銀は24日、政策金利を0.5%に引き上げることを決めた。氷見野副総裁は「利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」とし、引き続き経済活動をしっかりサポートしていくと述べた。
氷見野副総裁は「金利のある世界」をテーマに講演した。2022年、資源価格の高騰などを受け、中長期の予想インフレ率を2%に抑制するために米連邦準備理事会(FRB)が急激な利上げを実施したのとは対照的に、日本では「予想インフレ率が2%をはっきり下回った状態から徐々に2%に近づいていき、経済のスラック(需給の緩み)も少しずつ縮小していく中で、政策スタンスも金融緩和度合いを少しずつ調整してきた」と説明。政策調整の理想像は「成長と分配の好循環が進み、緩やかな物価上昇が定着していく中で、自然な形でゆっくりと『金利のある世界』に入っていくという姿」だと述べた。
「金利のある世界」では単に金利があるというだけでなく「成長のある世界、賃上げのある世界、一つ一つの商品の価格が凍り付いていない世界、積極的な投資が行われ、生産性も改善していく世界でもある」とし、企業行動が変化することで「もしかすると自然利子率も少し上昇していくかもしれない」と話した。その上で、経団連が実施した会員企業へのアンケートで「金利のある世界」についてポジティブな印象を有する企業が約7割に上ったことに触れ、徐々に理想的な姿に近づいていっているとの見方を示した。
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