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アングル:半導体株切り返し、復活の序章か TSMC決算に集まる熱視線

2025年01月08日(水)16時42分

日本の半導体株を巡って出直り期待がにわかに広がっている。8日の東京市場では、前日の米ハイテク株安にもかかわらず、東京エレクトロンやアドバンテストが朝安後、予想外に切り返す動きを見せた。写真は2021年12月、東京証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Noriyuki Hirata

[東京 8日 ロイター] - 日本の半導体株を巡って出直り期待がにわかに広がっている。8日の東京市場では、前日の米ハイテク株安にもかかわらず、東京エレクトロンやアドバンテストが朝安後、予想外に切り返す動きを見せた。来週には半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の決算を控え、良好な内容を先取りしようとする動きが活発となった。相場全体をけん引した昨年の再来となるか注目度は高い。

「これだけ上昇してくると、半導体関連株を少しは持っておかないと怖いという心理になりやすい」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は指摘する。主要な半導体関連株は年始以降、上昇が続いている。東京エレクトロン株は7日に11%高と大幅高になり、8日も1.6%上昇した。アドバンテストも4%高に次いで3%高と、連日の上昇となった。

とりわけ8日は、前日の米国市場で米半導体大手エヌビディアが6%安と大きく下落し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.8%安となったにもかかわらず、国内の関連株は騰勢を維持した。大和証券の林健太郎シニアストラテジストは「AI需要への期待の高さの現れだろう」と解説する。

年初以降の関連株上昇の追い風になったのは、台湾の電子機器受託生産企業の鴻海(ホンハイ)精密工業の好決算や米マイクロソフトが約800億ドルを投じて人工知能(AI)向けデータセンターを建設する計画が伝わったことだ。鴻海の好業績はAIサーバーの堅調な需要で収益が大きく伸びたことが背景にある。

目先のイベントで注目されるのが、16日に予定される台湾TSMCの四半期決算だ。鴻海の好決算や米大手ハイテク企業によるデータセンター拡張の動きを受けて「TSMCは弱くないとの期待がある」と大和の林氏はみている。

<TSMC決算、刺激か出尽くしか>

TSMCの決算では「とりわけ注目されるのが設備投資計画」(大和の林氏)という。国内半導体関連株の主力は製造装置を手掛ける企業が中心となっており、TSMCの設備投資が強ければ、国内関連株の見直し機運が一段と高まるきっかけになり得るという。

半導体関連株は、昨年前半は相場上昇のけん引役だったが、夏場以降は失速した経緯がある。東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは、半導体株に強気だった機関投資家と外国人が、円の先高観が強まる中で売りに回り、内需株にシフトしたと指摘する。それが「半年程度が経過し、次に買うものを物色する中で、半導体株に再び視線が向かってきた」という。

もっとも、下落基調の中で一時的に値を戻す「あや戻し」に過ぎない可能性もある。いちよしAMの秋野氏は、多くの投資家による半導体関連株のポジションは過度に軽くなっているとみており、7日の急上昇はショートカバーの側面が強いとの見方を示す。

東海東京の鈴木氏も、相対的に半導体関連株のバリュエーションは依然として高いと指摘。TSMCの決算に向けて強い地合いが継続すれば、好材料が出ても出尽くしとなり、上昇余地は限られやすいとみている。

「本当の長期の上げ相場に戻れるか、下げ過ぎの反動で終わるか、投資家は見極めようとしている」と、東海東京の鈴木氏は話している。いちよしAMの秋野氏は、市場はこれまでに相当程度のリスクを織り込んできたとし「トランプ次期米大統領が就任していったん不透明感が晴れ、(各企業の決算などを通じて)中国リスクへの警戒感が和らげば、大きな変化になる」とみている。

(平田紀之 編集:橋本浩)

ロイター
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