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トランプ氏政策、インフレへの影響限定的か バーナンキ氏らが見解

2025年01月06日(月)20時37分

歴代米大統領の顧問を含む複数の著名経済学者らは、トランプ次期大統領(写真)が計画する関税拡大や減税、移民抑制といった政策が、初期の分析で示唆されているほどインフレを招かないのではないかという見解で一致している。12月撮影。(2025 ロイター/Cheney Orr/File Photo)

Ann Saphir

[サンフランシスコ 6日 ロイター] - 歴代米大統領の顧問を含む複数の著名経済学者らは、トランプ次期大統領が計画する関税拡大や減税、移民抑制といった政策が、初期の分析で示唆されているほどインフレを招かないのではないかという見解で一致している。

一方で、トランプ氏が連邦準備理事会(FRB)を統制しようとすれば、物価上昇圧力を再燃させる現実的なリスクが生じると指摘する。

トランプ氏の大統領就任まで約2週間となる中、週末にサンフランシスコで開催された米経済学会年次総会では、第2次トランプ政権による米経済への影響を巡る不確実性が議論の焦点となった。

バーナンキ元FRB議長は総会で、「財政面でのメリットが何であれ、トランプ氏の政策はインフレ率への影響という点ではおそらく控えめなものになる」と語った。

期限切れとなる減税措置の大部分はどの大統領候補が当選しても維持されると予想されていたと、バーナンキ氏らは指摘する。さらに政府債務が増大している中で、追加減税を実施する議会の意欲は限られる可能性がある。

バーナンキ氏は移民抑制については、賃金を押し上げる可能性がある一方で、製品やサービスを購入する人が減り、物価上昇圧力の緩和につながる可能性もあるとの見方を示した。

また、関税の影響に関しては「大統領が交渉目的で一時的に導入するだけなのか、恒久的に維持するのか分からないため、予測は非常に難しい」とした上で、「政治的リスクなど極めて異例な状況がない限り、インフレの軌道を劇的に変えるとは思えない」と語った。

<経済は堅調維持へ>

過去の民主党政権の顧問らもバーナンキ氏の楽観的な見解に同調した。

現在カリフォルニア大学バークレー校の経済学教授で、オバマ政権時代に大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたクリスティーナ・ローマー氏は「マクロ経済全体について言えば、劇的な変化や非常に恐ろしいことは起こらないだろう」と語った。

しかしリスクはあるとし、トランプ氏がパウエルFRB議長のインフレ抑制に向けた取り組みを妨害しようとする可能性に言及。「FRBの独立性が攻撃されれば、非常に重大な結果を招くと思う」と述べた。ただ、そうなれば信頼が損なわれ金融市場が混乱する可能性があるため、そのシナリオは起こりそうにないと述べた。

ハーバード大学の経済学教授で、同じくオバマ政権時代にCEA委員長を務めたジェイソン・ファーマン氏はやや懸念を示し、トランプ氏が今後4年間でFRBの政策に対する影響力をほとんど持たなかったとしても、後任に党派的な指名や他の手段を使わせてFRBの独立性を低下させる道を開く可能性があると指摘した。

また、トランプ氏の政策がインフレに与える影響は「比較的小さい」ことに同意するとしながら、現在2.4%のインフレ率がわずかに上昇するだけでも、FRBの今年の利下げは休止され、物価上昇圧力が弱まらなければ来年には利上げもあり得るとの見解を示した。

それでも、現在の経済の強さと勢いは簡単には崩れないとみる向きもある。

オバマ政権当局者だったハーバード大学の経済学教授、カレン・ダイナン氏は、トランプ氏の関税政策や移民抑制策は経済成長やインフレに逆風をもたらす可能性があるものの、消費者・企業信頼感は利下げ見通しや株価上昇に支えられて強いと指摘。

総合的に見ると、経済は引き続き堅調に推移し、ディスインフレが継続する可能性が高いとの見方を示した。

ロイター
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