ニュース速報
ビジネス

米銀業界団体、FRBを提訴 ストレステストの透明性向上要求

2024年12月25日(水)07時22分

米銀業界団体は24日、銀行に対する年次ストレステスト(健全性審査)の慣行が適切な行政手続きに沿っていないとして、米連邦準備理事会(FRB)を提訴した。写真はワシントンのFRBビル。2008年3月撮影(2024年 ロイター/Jason Reed)

[24日 ロイター] - 米銀業界団体は24日、銀行に対する年次ストレステスト(健全性審査)が法律に違反しているとして、米連邦準備理事会(FRB)を提訴した。

提訴したのは銀行政策研究所や米銀行協会、米商工会議所など。訴訟はオハイオ州コロンバスの連邦地裁で提起した。FRBが仮想的な経済混乱に対して大手銀行がどのようなパフォーマンスを示すかを判断し、それに応じて必要資本を割り当てるというやり方は、適切な行政手続きにのっとっていないと主張している。

世界金融危機後に成立した2010年のドッド・フランク法は、FRBが銀行のバランスシートをテストすることを広く義務付けているが、テストの一環としてFRBが行う自己資本比率の分析や、その結果としてFRBが金融機関に積み立てるよう指示する自己資本は、法律で定められているわけではない。

訴訟で原告側は、銀行の業績評価で使用され、現在機密扱いとなっているモデルや、脆弱性を見極める年次シナリオの詳細を公表し、フィードバックを募るよう、FRBに求めている。プロセスをより透明性のあるものにし、一般からのフィードバックに応える必要があると訴えたが、ストレステスト自体の廃止を求めているわけではないとした。

FRBは23日、最近の法改正を踏まえ、ストレステストを大幅に変更することを検討していると発表。ストレステストに用いる仮定のシナリオについて、貸し手側が意見を述べることを認める可能性もあると明らかにした。また、銀行が潜在的損失を吸収するために確保しなければならない資本の年間変動を抑えるため、2年間の結果を平均化する可能性もあるという。

ストレステストを巡っては、銀行が長年、不透明で主観的だと訴えてきた。FRBは、銀行が試験をクリアしやすくなるとの懸念から、テストのプロセスを完全にオープンにするよう求める声に抵抗してきた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド、石炭火力発電所の脱硫装置義務化見直し 効果

ワールド

ローマ教皇が「聖年」開幕行事、途上国の債務軽減も訴

ワールド

中国、穀物の生産・品質向上と消費喚起へ10カ年計画

ビジネス

午前の日経平均は小幅続落、薄商いの中で買い材料なく
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 3
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリスマストイが「誇り高く立っている」と話題
  • 4
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 5
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 6
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 7
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 6
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 7
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中