ノボノルディスクのインド部門、肥満症薬の発売前倒し要請
12月3日、デンマーク製薬大手ノボノルディスクのインド部門が、同社の肥満症治療薬「ウゴービ」を同国で早期に発売するよう促している。写真は同社のロゴ。デンマークのバウスベアで3月撮影(2024 ロイター/Tom Little)
Leroy Leo
[ベンガル―ル/ハイデラバード 3日 ロイター] - デンマーク製薬大手ノボノルディスクのインド部門が、同社の肥満症治療薬「ウゴービ」を同国で早期に発売するよう促している。巨大市場になると予想されるインド市場で、競合する米イーライリリーに後れを取る懸念が理由。事情に詳しい関係者2人がロイターに明らかにした。
ノボノルディスク幹部はウゴービについて、インドでは規制当局の承認が得られ、十分な供給量を確保した上で2026年に導入する可能性を示唆している。ただ、同社インド部門のチームは発売を、イーライリリーが競合薬「マンジャロ」を投入すると見込まれる25年に前倒しするよう提案した。
関係者の1人によると、約2カ月前にノボノルディスクのデンマーク本社で行われた非公開の会議で、インドチームがウゴービを早期に発売しないとイーライリリーの後塵を拝しかねないとの不安を表明した。
同じ主成分「セマグルチド」を含有するウゴービとノボノルディスクの糖尿病薬「オゼンピック」、イーライリリーのマンジャロはGLP-1受容体作動薬と呼ばれるクラスに属する薬剤で、血糖値をコントロールして消化を遅らせ、満腹感を長時間持続させる働きがある。
関係者の1人の話では、ノボノルディスクは22年終盤にインドでセマグルチド注射剤の承認を獲得した。同社インド部門はロイターに宛てた声明で、ウゴービをできるだけ早く発売するよう努めているが、具体的な発売日は決まっていないと述べた。
取材に対し、イーライリリーは、マンジャロの25年の発売は供給状況次第だと回答した。
人口14億人強を抱えるインドでは肥満症患者が増加。政府が19─21年に実施した調査によると、15─49歳までの女性の24%、男性の約23%が太り過ぎないし肥満症で、15─16年調査時の女性の20.6%、男性の19%からそれぞれ上昇している。