ユーロ圏ESM、国防費増額に活用も トップが検討に前向き
11月28日、ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)のグラメーニャ事務局長は、域内諸国の防衛費引き上げにESMを活用する案を協議することに前向きな姿勢を示した。写真はイタリアのレッタ元首相。ローマで2013年11月撮影(2024 ロイター/Remo Casilli)
[パリ 28日 ロイター] - ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)のグラメーニャ事務局長は28日、域内諸国の防衛費引き上げにESMを活用する案を協議することに前向きな姿勢を示した。
イタリアのレッタ元首相は4月、欧州連合(EU)首脳に対し、ESMがその役割を拡大し、加盟国の防衛・安全保障関連支出向けに、対国内総生産(GDP)比2%を上限に低利の融資を行う案を示していた。
グラメーニャ氏はESMが加盟国の管理下にあり、「そのような要望があるならば協議する用意がある」と語った。
トランプ次期米大統領は政権1期目に、北大西洋条約機構(NATO)が掲げる対GDP比2%の国防費目標が未達になっている加盟国を批判しており、欧州の国防費に再び焦点が当たりそうだ。
ESMは2012年に、ユーロ圏諸国が債務危機国への金融支援を行うために設立された。
危機が後退してからは、ESMの存在意義を保つための検討が続けられてきた。コロナ禍では各国の保健衛生対策の財政支援に利用可能な特別与信枠を設定した。