村田製が新中計、27年度売上収益2兆円 AI拡大で上振れも
11月25日、村田製作所は、2027年度まで3カ年の新中期経営計画を公表した。写真は村田製作所のロゴで、2017年10月に千葉・幕張メッセで撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)
Ritsuko Shimizu Shinichi Uchida
[東京 25日 ロイター] - 村田製作所は25日、2027年度まで3カ年の新中期経営計画を公表した。27年度の目標として売上収益2兆円以上、営業利益率18%以上・投下資本利益率(ROIC、税引き後)12%以上を目指す。AI(人工知能)の拡大により、2兆円には上振れ余地があるとしている。24年度の予想は1.7兆円、17.6%、10.2%。
中島規巨社長は会見で、今中計は中期方針2030年の実現に向けた仕込みの3年と位置付けた。27年度の売上収益については「AI(人工知能)による急峻な市場拡大や取り組み強化により、10%の成長上振れ余地を相当な確度で見込んでいる」と述べた。
為替の前提は1ドル=140円(24年度予想は145円)。
業界1位のコンデンサーは、24年から30年までAI機能搭載サーバー向けの需要が年平均18%で成長するとみている。一方、ITインフラ向け電源モジュールや高周波モジュールは成長市場として期待している。
新中計では生産増強や地政学リスクへの対応などへの設備投資6800億円、M&AやITインフラ強化などへの戦略投資2200億円、株主還元4000億円の計画も示した。純資産配当率(DOE)はこれまで4%を掲げていたが、段階的に5%に引き上げる。
M&Aについては、シェア1位を確立する領域や高い売り上げ成長を目指す領域でのシェア拡大と今後スケール化を目指す事業でのビジネスモデル獲得を対象にするとした。
24年度までの現中計では売上高2兆円、営業利益率とROIC(税引き前)は20%以上を目標に掲げていたが、未達に終わりそうだ。世界的なインフレや景気循環の悪化でスマホやPCなどの部品需要が下振れたという。また、伸びる領域にいち早く経営資源を振り向けることができなかったことも要因と分析した。