欧州半導体業界、自動車向けレガシー半導体支援を要望
欧州半導体産業協会(ESIA)の事務局長に今月就任したレネ・シュレーダー氏は22日、「欧州半導体法」の適用対象に自動車向けなどのレガシー半導体や成熟半導体を含める改正が必要だとの見解を表明した。写真は基盤上の半導体。23年撮影。(2024年 ロイター/Florence Lo/File Photo)
Toby Sterling
[アムステルダム 22日 ロイター] - 欧州半導体産業協会(ESIA)の事務局長に今月就任したレネ・シュレーダー氏は22日、「欧州半導体法」の適用対象に自動車向けなどのレガシー半導体や成熟半導体を含める改正が必要だとの見解を表明し、欧州連合(EU)欧州委員会に実現を強く求めた。ロイターの電話インタビューで語った。
同法は2023年4月施行。域内半導体企業が世界市場でシェアを拡大するのを後押しするのが狙いで、430億ユーロ(469億6000万ドル)の補助金投入により30年までにシェア20%を確保する計画。欧州委員会は現在、法改正の可能性を議論している。
ESIAに加盟するドイツのインフィニオン・テクノロジーズやオランダのNXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスなどの欧州半導体メーカーは、レガシー半導体や成熟半導体と言われる既存世代の半導体の製造技術では国際的に主導的な地位を確保している。マイコンやパワー半導体、センサー分野で性能を向上させており、欧州の自動車産業など製造業はその供給に依存している。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長が1期目終盤だった今年7月、同委員会はレガシー半導体に関する広範囲な業界調査を開始し、サプライチェーン(供給網)での使用状況ついて意見を求めたほか、中国企業による大規模な生産能力拡大が及ぼす競争上の脅威を巡って検討していた。
ただ、欧州委員会の技術政策などを担当する次期副委員長の候補ヘンナ・ビルクネン氏は12日の欧州議会指名承認公聴会で、現在議論が行われている同法改正の是非を巡っては、量子コンピューターなど最先端技術に焦点を当てるとの所信を表明していた。
シュレーダー氏はインタビューで、欧州半導体業界はビルクネン氏の見解を支持するものの、既存の半導体関連分野の一角であるレガシー半導体事業などへの公的支援の必要性を挙げた。
同氏はまた、「制約的かつ保護主義的な措置に依存するディフェンシブな姿勢ではなく」、米国や日本、韓国といった国々との提携とインセンティブを併用する政策の方が好ましいとの見方を示した。