米FRB高官、インフレリスク巡り相反する見解示す
11月20日、米連邦準備理事会(FRB)の高官2人が、金融政策の方向性について相反する見解を示した。米首都ワシントンで2022年撮影(2024年 ロイター/Joshua Roberts)
Howard Schneider Ann Saphir
[シャーロッツビル(米バージニア州) 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の高官2人が20日、金融政策の方向性について相反する見解を示した。ボウマン理事はインフレが依然として懸念だと指摘し、クック理事はインフレ圧力が軟化し続けるとの自信を示した。
両理事は別々に講演。12月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの追加利下げを承認するかどうか決定する際にこうした見解が考慮される見通しだ。
投資家が見込む来月の利下げ確率は以前は高かったが、現在では55%にとどまっている。米大統領選でトランプ前大統領が勝利したこともインフレの行方を巡るリスクと不確実性を高めている。
大統領1期目のトランプ氏によってFRB理事に指名されたボウマン氏はフロリダ州ウェストパームビーチで開催された経済フォーラムで、ここ数カ月インフレ率がなお高く、横ばい傾向にあることから、FRBは慎重になる必要があると述べた。
「2023年初頭からインフレ率の低下にはかなりの進展が見られたが、ここ数カ月は停滞しているようだ。私は政策金利の引き下げを慎重に進め、終着点までの距離をより良く見極めたい」と表明。今月7日のFOMC声明について「データに依存した柔軟なアプローチが盛り込まれ、FOMCが将来の政策調整を決定する際の選択肢を提供している」と指摘した。
インフレ率の改善が利下げを正当化することに同意する一方、9月のような0.5%ポイントの利下げには反対し、0.25%ポイントの利下げを支持。インフレ再燃につながるような早急かつ大幅な利下げを避けるべきとの考えを示した。
22年にバイデン大統領によってFRB理事に指名されたクック氏はシャーロッツビルにあるバージニア大学での講演で、来月の利下げを明確に支持することはなかったものの、現在住宅部門にほぼ限定されている物価上昇圧力は引き続き和らぐと予想した。
基調的な物価動向の目安になるとされる、食品とエネルギーコストを除いた個人消費支出(PCE)価格指数は10月に2.8%の上昇になったと見込まれ、過去4カ月はほとんど変化していない。
それでも「データを総合すると、ディスインフレの軌道はなお続いており、労働市場は徐々に冷え込んでいる」と指摘。「今後、適切な政策金利の方向性は依然として下向きだと私は見ている」と述べた。
また、ボストン地区連銀のコリンズ総裁は20日、インフレ圧力が緩和する中、FRBは一段の利下げを実施していくとの見方を示した。
ミシガン大学での講演で「現行の制約的な政策金利を中立的な領域に徐々に戻すために、追加的な調整を行っていくことが適切になる」と述べた。