最新記事
隕石

巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期の新事実

A New View of Earth's Past

2024年11月21日(木)17時30分
トム・ハワース(自然・科学担当)
隕石衝突が引き起こした栄養分流入が原始生命体の生育に貢献した ROMOLO TAVANI/ISTOCK

隕石衝突が引き起こした栄養分流入が原始生命体の生育に貢献した ROMOLO TAVANI/ISTOCK

<太古の地球に衝突した恐竜絶滅時の200倍の隕石、その意外な影響が新たな研究で判明>

およそ32億6000万年前、巨大な隕石が地球に衝突した。その大きさは、恐竜の絶滅につながった隕石の最大200倍。この「S2」と呼ばれる隕石の衝突が残した地質学的痕跡から、初期の地球の姿を解明しようと、科学者チームが研究を進めている。

初期地球地質学者で、ハーバード大学地球惑星科学部助教のナディア・ドラボンが率いる研究チームは、南アフリカにある世界最古級の地質構造「バーバートン緑色岩帯」で採取した岩石を分析。先頃、米国科学アカデミー紀要(PNAS)で発表した研究は、S2が地球に衝突した日の出来事を、これまでで最も詳しい形で明らかにしている。


直径がエベレスト(チョモランマ)の標高の4倍以上あったS2の衝突は巨大津波を引き起こし、海水が混じり合い、陸地の岩石片などが沿岸地帯に流れ込んだ。衝突で生じた熱で海洋表層は沸騰し、大気温度が上昇。地球は厚いちりの雲に包まれ、光合成作用が一時的に停止した。

だが、この大惨事は予想外の展開をもたらした。バクテリアが驚異的な回復力を発揮し、急速によみがえったのだ。

「津波が襲い、海が沸き立ち、空が暗くなっても、初期の生命は立ち直りが早かった」と、ドラボンは本誌に語る。「数年後から数十年後、通常状態に戻った途端に回復しただけでなく、力強く成長した」

東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中