中国のアンチモン輸出、10月は輸出規制で急減 前月比-97%
[北京 20日 ロイター] - 中国税関当局が20日発表した10月のアンチモン製品の輸出は前月比97%急減した。輸出規制が背景。
中国政府は8月、国益と安全保障を守るため、レアメタル(希少金属)の一種であるアンチモンと関連品目の輸出を9月15日から規制すると発表した。
アンチモンは弾薬、赤外線ミサイル、核兵器、暗視ゴーグルといった軍用品のほか、バッテリー、太陽光発電設備などに使われる戦略金属。昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。
中国政府が輸出規制の計画を発表したことを受け、海外で備蓄を急ぐ動きが広がり、8月から9月にかけて駆け込み需要が発生した。
中国の10月のアンチモン関連製品の輸出は190トン。前月は6533トン、前年同月は4034トンだった。
関連製品を輸出する中国企業は軍民両用の用途で利用される製品・技術について輸出許可を申請する必要がある。
情報プロバイダーの上海有色網によると、中国のアンチモン鋳塊のスポット価格は10月に7.5%下落。今月19日時点の価格は1トン=14万1000元(1万9479.17ドル)で、政府が輸出規制の計画を発表した8月15日から11.5%下落している。
一方、欧州のアンチモン鋳塊は域内供給の引き締まりで価格が急騰した。
情報プロバイダー、オーガスのアナリストは「欧米のアンチモン価格は記録的な高値を付けている。中国の新たな輸出規制に加え、それ以前から世界的に供給が不足していたことが背景だ。倉庫在庫が極めて少なく、10月に1トン=3万ドルを超えた」と指摘。
「供給ルートの信頼性が低下しており、欧米のバイヤーが今後どのように状況を改善できるか不透明だ」と述べた。
1─10月の中国のアンチモン輸出は前年同期比17.2%減の3万6103トンだった。