中国、市場開放と香港での株式上場・起債支援を表明=高官
11月19日、中国の何立峰副首相(写真)は、香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)主催のイベントで、より多くの「優良企業」が香港で上場し、起債することを中国政府が支援すると述べた。写真は昨年9月、北京で撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)
Selena Li Kane Wu
[香港 19日 ロイター] - 中国政府高官らは19日、海外の大手金融機関に対し、資本市場改革と金融セクターの開放を進める考えを明らかにした。また香港が世界的な金融ハブとしての地位を強化することを支援すると表明した。
中国人民銀行(中央銀行)副総裁で国家外貨管理局長を務める朱鶴新氏は、香港金融管理局(HKMA、中銀に相当)主催のイベントで、「中国を訪れる海外の投資家やビジネスリーダーにとって開放的で好ましいビジネス環境を作っていく」と述べた。
「われわれは外国人投資家を受け入れている。中国の経済発展の成功を分かち合うために中国本土に来ることを歓迎する」と語った。
中国証券監督管理委員会(証監会)の呉清主席は、資本市場改革を深化させ、投資障壁を取り除き、支援措置を進めていくと表明した。
何立峰副首相はより多くの「優良企業」が香港で上場し、起債することを中国政府が支援すると述べた。
また、香港と中国の相互の市場アクセスを拡大するほか、中国の金融機関が香港で事業を拡大するのを支援する考えも表明した。
さらに、中国は香港での国債発行を着実に増やしていくとし「国債の定期的な発行メカニズムを改善し、香港での発行を着実に増やし、香港がグローバルな金融ビジネスのハブとしての地位を確固たるものにすることを支援する」と語った。
香港市場は近年、新規株式公開や流通市場での取引額が減少している。ディールロジックによると、2023年は58億8000万ドル、24年は91億ドルと、20年のピーク時の516億ドルから大幅に減少している。
<企業買収活発化>
中国の景気減速を巡る懸念やドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領に選出されたことによる先行き不透明感が高まる中、イベントには中国の政策当局者やグローバルバンクの幹部が出席した。
トランプ氏の対中関税政策への懸念が広がっているものの、UBSのコルム・ケレハー会長はアジア地域の堅調な経済成長と中国の対応力に期待を示した。
シティグループのジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)は、トランプ政権下での規制緩和により企業買収が活発化するとの見通しを示した。
「大統領選を受けて市場が即座に活性化したのを目の当たりにした。M&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)の案件が一夜にして急増し、顧客も完全に戻ってきた」と述べた。
モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOは、デフレとの戦いには時間がかかるが、金融政策の効果は徐々に表れ始めているとの見方を示した。その一方で、財政政策の効果が出るにはさらに時間が必要と語った。
ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン会長は、世界の投資家は中国からの資本流出を引き続き懸念していると指摘。中国の消費が改善することが投資家の信頼を取り戻す上で非常に重要だとの見解を示した。