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英量的引き締め、第1段階で20bp利回り押し上げも=中銀研究報告

2024年11月18日(月)14時40分

 11月15日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は保有国債残高を削減する「量的引き締め」(QT)の第1段階に関し、10年国債利回りを押し上げる効果が当初予想の上限に当たる約20ベーシスポイント(bp)だったとの研究報告を発表した。2023年5月撮影(2024年 ロイター/Henry Nicholls)

David Milliken

[ロンドン 15日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は15日、保有国債残高を削減する「量的引き締め」(QT)の第1段階に関し、10年国債利回りを押し上げる効果が当初予想の上限に当たる約20ベーシスポイント(bp)だったとの研究報告を発表した。ただ、研究員2名の見解という体裁を取っている。

BOEは以前、QTの利回り押し上げ効果の大きさについて、量的金融緩和(QE)の押し下げ効果よりも小さいとみられると表明していた。ただ、これは、国債売却(アウトライトの売り)プログラムがより緩やかで、市場が総じてより落ち着いているタイミングで実施されたためだ。

8月にBOEが公表した試算では、2022年2月から24年6月までの利回り上昇幅275bpのうち10―20bpがQT影響、200bpが金利先高観に基づくと説明していた。

09―21年のQEで積み上げた国債残高は8750億ポンド(1010億ドル)に上る。BOEは22年初めにQTを開始。利子の再投資停止による保有国債残高の削減措置から着手し、その後にアウトライトの売りも実施した。QT第1段階で削減する規模は800億ポンドだ。

今回の研究報告は、今後のQTでは利回り押し上げ効果が一段と大きくなることを示唆。「22年QT計画をまねて全く不意打ちの発表に踏み切った場合、市場ストレスが低いもとでは10年債利回りの押し上げ幅は20bpに及ぶだろう」と指摘した。

また、アウトライトで売る計画を市場ストレスがかなり高い状態の中で実施すれば利回り上昇効果は、その5倍に跳ね上がる可能性があるとの試算も示した。短期および長期の国債の方が中期国債よりも影響が大きいという。

ロイター
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