ワーナーCEO、米次期政権でM&A許容に期待 7─9月は黒字確保
11月7日、米メディア大手、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのデービッド・ザスラフ最高経営責任者(CEO)はトランプ米次期政権下で企業の合併・買収(M&A)をより許容する環境になれば「この業界が必要としている本当に前向きで、加速度的なインパクトがもたらされるだろう」と期待感を示した。アトランタの同社施設で2023年5月撮影(2024年 ロイター/Alyssa Pointer)
Dawn Chmielewski
[7日 ロイター] - 米メディア大手、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのデービッド・ザスラフ最高経営責任者(CEO)は7日、トランプ米次期政権下で企業の合併・買収(M&A)をより許容する環境になれば「この業界が必要としている本当に前向きで、加速度的なインパクトがもたらされるだろう」と期待感を示した。2024年第3・四半期(7―9月)決算を発表後の投資家向けの電話会見で語った。
第3・四半期の1株当たり利益は0.05ドルと、LSEGがまとめた市場予想の0.09ドルの赤字に反して黒字を確保。コストの抑制が業績を押し上げた。
バイデン現政権下での反トラスト法(独占禁止法)の厳格な運用はここ数年、各業界で再編を試みる動きに重くのしかかり、メディア業界の選択肢も狭めてきた。ザスラフ氏はエンターテインメントと放送の業界は再編の機が熟しており、さまざまなサービスがより凝縮した形態に統合されることで、ストリーミングでの消費者体験が向上することになると訴えた。
eマーケッターのテレビ・ストリーミング部門のアナリスト、ロス・ベネス氏は「一般的にトランプ氏は規制緩和に好意的だ。そうなればM&Aが増える可能性が高まる」と指摘。一方で「最近のメディア業界のM&A案件の大部分は従業員と投資家にとって悪い結果となっている」との見方を示した。
有力事業となっているケーブルテレビ事業から数百万人がインターネットの動画配信(ストリーミング)へ移行し、ザスラフ氏はワーナーと同業他社が「世代的な混乱」に直面していると評した。
第3・四半期決算は、ストリーミング事業の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が前年同期の2倍超の2億8900万ドルとなった。コンテンツ費用の減少が押し上げ要因となった。
ディスカバリーチャンネル、アニマルプラネット、フードネットワークが含まれるテレビネットワーク事業の売上高は3%増の50億ドル。
一方、映画事業の売り上げは17%減の96億2000万ドルとなり、市場予想の98億ドルを下回った。前年同期の売り上げは23年公開された映画で最高の興行収入を記録した「バービー」に押し上げられていた。