格付け会社2社、英国の厳しい財政状況を強調 新たな予算案受け
主要格付け会社2社は1日、英労働党新政権が発表した大型の来年度予算案を受けて、英国の財政が厳しい状況にある点を強調した。8月撮影(2024年 ロイター/Mina Kim)
[ロンドン 1日 ロイター] - 主要格付け会社2社は1日、英労働党新政権が発表した大型の来年度予算案を受けて、英国の財政が厳しい状況にある点を強調した。
格付け会社S&Pは英国の財政見通しを「制約された」とし、ムーディーズはリーブス財務相による債務増加の発表が「すでに困難となっている財政再建の見通しにさらなる課題」をもたらしたと述べた。
リーブス氏は30日、政策投資に充てるために債務を大幅に増やすとともに、公共サービスを拡充する必要があるとして、過去30年で最大となる増税計画を明らかにした。
新政権で初となった予算案発表を受けて、英国債価格は10月30日と31日に大幅下落。今月1日に若干上昇したものの、金利に敏感な2年物国債価格は週間では1年超ぶりの大幅下落となる見込み。
格付け会社はいずれも格下げは示唆しなかったが、ムーディーズは、2022年に保守党のトラス元首相の下での財源の裏付けがない減税案で金融市場が混乱した経緯を踏まえ、労働党政権が政策判断のミスを犯すことに対して投資家は以前に比べて寛容でないだろうと指摘した。
S&Pは、英国の資金調達ニーズが大幅に増えると以前から予測していたため、予算発表後も将来の債務予測を引き上げていないと述べた。