アマゾン、第3四半期利益・売上高が予想超え ネット通販の改善で
米アマゾン・ドット・コムが10月31日発表した第3・四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。写真は、コンベア上を運ばれるアマゾンの荷物。2021年11月、ニュージャージー州で撮影(2024年 ロイター/Mike Segar)
[31日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムが31日発表した第3・四半期決算は、利益と売上高が市場予想を上回った。インターネット通販事業の改善が寄与した。株価は引け後の時間外取引で5.7%上昇した。
配送時間の短縮や値下げ時に利用者が買いだめをする傾向を踏まえ、年末商戦を含む第4・四半期も堅調な業績を見込んでいることを示唆した。
第3・四半期の売上高は1589億ドルで、市場予想の1572億ドルを上回った。アマゾンは8月時点で1540億─1585億ドルのレンジになると予想していた。北米部門の売上高は9%増の955億ドルだった。
純利益は153億ドルと、アナリストの予想平均の122億ドルを上回った。
株当たり利益は1.43ドル。市場予想は1.14ドルだった。
直営インターネット通販の売上高は7%増の614億1000万ドル。
D.A.デビッドソンのテクノロジー・リサーチ責任者ギル・ルリア氏は「利益率が予想外に改善したことが最も際立った」と指摘。「小売事業が利益率を維持できるかについて投資家は懸念していたが、アマゾンはそれどころか利益率を伸ばした」と評価した。
海外部門の営業利益率は3.6%と、前期の0.9%から上昇。北米部門も5.9%と、前期の5.6%を上回った。
アマゾンは「Temu(ティームー)」や「SHEIN(シーイン)」など中国発の格安電子商取引(EC)サイトとの競争が激化している。
同社は他のIT大手と同様、人工知能(AI)ソフトウエア開発関連の投資が当面拡大すると見込んだ。
アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はアナリスト説明会で、AIを「おそらく二度とないチャンス」と捉え、「積極的に追求している」と強調した。
今年の設備投資は約750億ドルと、前年の484億ドルから増やす計画。ジャシーCEOは来年さらに拡大するとの予想を示した。
クラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高は19%増の275億ドルで、市場予想と一致した。7四半期ぶりの高い増収率を記録した。
競合のマイクロソフトのクラウド事業「Azure(アジュール)」の同時期の売上高は33%増、グーグルの持ち株会社アルファベットの「Google Cloud(グーグルクラウド)」は35%増だった。
アプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デーブ・ワグナー氏は「AWSが痛手となった」と分析。19%の増収率は予想を上回ったものの、21─22%近くになるとの期待感があったとした。
ルリア氏は、グーグルクラウドが過去2四半期にAWSのシェアの一部を奪ったとの見方を示した。
一方、広告事業の売上高は19%増の143億ドルと、予想を若干上回った。
アマゾンの第4・四半期売上高見通しの中間値は1850億ドルと、市場予想平均の1861億6000万ドルに届かなかった。ルリア氏は、アマゾンが年末のホリデーシーズンについて不確実性が高いため保守的な予想を立てていると指摘した。