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超長期債中心に円債積み増し、ヘッジ外債は横ばい=太陽生命・24年度下期運用計画

2024年10月21日(月)18時59分

 10月21日、 T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2024年度下期一般勘定資産運用計画で、国内債券の残高を増加させる方針を示した。写真は円紙幣。2010年8月撮影(2024年 ロイター/Yuriko Nakao)

Mariko Sakaguchi

[東京 21日 ロイター] - T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2024年度下期一般勘定資産運用計画で、国内債券の残高を増加させる方針を示した。超長期国債や事業債を中心に円債を積み増す一方、外国債券の残高は横ばいを予定している。また、政策株からの振替銘柄を中心に、内外株式の残高を減少させる。

常務執行役員の清友美貴氏が18日、ロイターとのインタビューで述べた。

<20年債利回り1.7%は買い検討>

国内債券は、超長期債や事業債などの残高を積み増していく。上期の残高は増加した。円金利が想定よりも上昇したことから「(上期は)積極的に買っていった」(清友氏)という。

下期の日本国債10年債利回りのレンジは0.60―1.10%と想定し、年度末は0.90%と予想。欧米の利下げに伴う海外金利の低下の流れが波及し、10年債利回りが節目の1%へ近づくにつれて超長期債を含めて金利が伸び悩むとみる。年度末の20年債利回りは1.7%、30年債利回りは2.1%を想定。「同利回り水準であれば、20年債を中心に買いを検討する」(清友氏)という。20年債利回りが2%を超える局面があれば、さらに積み増す可能性もある。

日銀の金融政策については、株価など市場が落ち着きを取り戻していることから、年内に1回の追加利上げを実施すると予想。年度末(来年3月末)までにさらに1回の追加利上げを行う可能性はあるとみているものの、米国の利下げペースや経済状況次第とみる。

<ヘッジ外債の残高は横ばい>

外国債券は、横ばいを予定している。上期の残高は減少した。米10年債利回りが一時3%半ばまで低下したことで、前倒しで残高の削減を進めた。

清友氏は、株価の急落リスクに備えてヘッジ外債の残高はゼロにはしないとの考えを示す。ヘッジコストの低下もあり現行の米利回り水準が維持されれば、下期の残高は横ばいにとどめる予定だ。上乗せ金利(スプレッド)がつく米国の事業債への投資が中心になる。

下期の米10年債利回りのレンジは3.00%─4.50%、年度末は3.60%を予想。雇用や個人消費の底堅さを背景に米国経済が失速するまでは至らず、米連邦公開市場委員会(FOMC)では会合ごとに25ベーシストポイント(bp)の利下げを実施することをメインシナリオとしている。ただ、インフレ再燃への警戒感から、米連邦準備理事会(FRB)が「(利下げを)スキップする可能性も高まってきた」(清友氏)という。

今年度のドル/円の想定レンジは130─160円とし、年度末は140円を予想する。米FRBは利下げを、日銀は利上げをそれぞれ急がないとみられることから、目先は急速に円高は進まないと見込む。

外貨エクスポージャーは横ばいの見通し。市況動向に応じて機動的に対応していく。上期は円高が進行した局面で、一部エクスポージャーの拡大を図り、残高は増加した。

<内外株式の残高減少を継続>

株式については、国内、海外ともに残高は減少する見通し。政策株からの振替銘柄を中心に削減する。上期は、予定通り外国株式の残高は減少。国内株式は政策株からの振替銘柄を中心に削減した一方、8月の株価急落時に押し目買いを入れたため、結果的に微減となった。下期はタイミングをみていったん利益確定することを視野に入れており、残高は減少する予定だ。

日経平均株価の想定レンジは3万3000─4万5000円。8月の株価急落後からは落ち着きを取り戻しているものの、年度末は4万0000円と4月時点(4万3000円)から、やや慎重な見方に修正した。

オルタナティブは増加する見通しで、超過収益の獲得を目的に銘柄の入れ替えを進めていく。上半期はアロケーションの一部変更に伴い、残高減少した。貸付金は減少する見通しで、流動性の観点から選別していく。不動産は横ばいの見通し。

清友氏はリスクシナリオとして米国のインフレ再燃を挙げ、米FRBが再び金融引き締めを行えば米金利が上昇し、円金利にも上昇圧力が波及するなど「逆戻りになってしまうリスク」を警戒する。

このほか、石破政権が24年度の補正予算を23年度(13兆1992億円)を上回る規模にするとの考えを示したことを受けて、目先は超長期債の金利上昇圧力がかかりやすい。ただ、海外の金利低下圧力が円金利の上昇圧力を和らげるほか、財政プレミアムは徐々に落ち着くとみており「仮に20年債利回りが2%、30年債利回りが2.5%程度まで上昇すれば、投資家の買いが入る可能性がある」(清友氏)として、急激な金利上昇圧力はかかりにくいとの見方を示した。

24年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.60―1.10%(年度末0.90%)

米10年債利回り    3.00─4.50%(同3.60%)

日経平均        33000─45000円(同40000円)

米ダウ         36000─48000ドル(同43000ドル)

ドル/円        130―160円(同140円)

ユーロ/円       145―175円(同160円)

(坂口茉莉子 編集:田中志保)

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