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EU森林伐採防止規制、施行延期なら前倒し対応した企業に不利益

2024年10月08日(火)19時41分

欧州連合(EU)が森林破壊防止規則(EUDR)の施行を1年先送りすれば、基準に準拠した農産物を調達するために前倒しで費用を支払ってきた企業は損失を被る恐れがある。ブラジル・アマゾン地域の伐採区域、8月撮影。(2024年 ロイター/Adriano Machado/File Photo)

Maytaal Angel Julia Payne

[ロンドン/ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)が森林破壊防止規則(EUDR)の施行を1年先送りすれば、基準に準拠した農産物を調達するために前倒しで費用を支払ってきた企業は損失を被る恐れがある。

EUDRは商品が違法な森林伐採に関係していないことを証明するよう業者に義務付け、証明できない業者からの輸入を禁じている。カカオ、コーヒー、牛、大豆、パームヤシ、木材、ゴムのほか、チョコレートや皮革などの関連製品の輸入に影響を及ぼす。

12月30日から施行される予定だったが、農家や業者の対応が間に合わないため、供給網が混乱し小規模農家がEU市場から排除され、基本的な食料品の価格上昇につながるとの批判が産業界や政府から噴出。欧州委員会は12か月の延期を提案した。

欧州の植物油の事業者団体FEDIOLは、規制に準拠した原材料を確保するために割増金を支払った企業は、先送りにより損失を被ることになると指摘した。

カカオ加工業者やチョコレートメーカーも同様の状況に直面している。これらの企業は森林破壊のない豆を最大6%(1トン当たり300ポンド)上乗せして購入していた。

EUDRが延期されれば、消費者は持続可能なカカオに高いお金を払おうとしなくなるため、企業はコストを商品に転嫁できず負担せざるを得なくなる。

一方、欧州の飼料業界団体である欧州配合飼料生産者連盟(FEFAC)や、農業生産者団体である欧州農業組織委員会(COPA)・欧州農業協同組合委員会(COGECA)は先送りを歓迎している。

EUDRは商品の輸入業者に対し、その商品が森林破壊された土地で栽培されたものでないことを証明するよう求めている。違反した場合は売上高の最大20%に相当する罰金を科される可能性がる。

また原材料がどこで栽培されたかを特定できるようサプライチェーンを追跡することを義務付けている。しかしサプライチェーンには多くの農場と仲介業者が関与しているため、データの入手や検証が困難との批判が出ている。

EUDRの先送りは欧州議会と加盟国の承認を得る必要がある。多くの加盟国はこれまでにEUDRの範囲縮小や一時停止を求めている。

ロイター
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