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米追加利下げ支持、経済指標が方向を決定=セントルイス連銀総裁

2024年10月08日(火)09時52分

 10月7日、米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は経済が前進する中、追加利下げを支持するとしつつ、経済指標が金融政策の方向を決定すると述べた。2013年7月撮影(2024年 ロイター/Jonathan Ernst)

Michael S. Derby

[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は7日、経済が健全なまま前進する中、追加利下げを支持するとしつつ、経済指標が金融政策の方向を決定すると述べた。利下げは慎重に進めて行き過ぎを避けるべきとの認識を示した。

ニューヨークでのイベント向け講演原稿で「政策金利のさらなる漸進的な引き下げは、おそらく時間をかけて適切になるだろう」と指摘。「忍耐」が連邦準備理事会(FRB)にとって役立っていると語った。

「将来の政策調整の規模や時期を予断するつもりはない」とした。

ムサレム氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。

先週発表された9月の米雇用統計は想定外に強い内容となった。9月のFOMCでは年内に50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを行う見通しが示されたが、雇用の力強さによって、実際にどの程度利下げする必要があるかという疑問が生じた。

同氏は9月の利下げ決定を支持するとした上で、金融政策について自身の見通しが「(FRB高官予測の)中央値をわずかに上回る」と述べた。

FRBは9月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.75─5.0%に引き下げた。同時に公表したFRB高官による金利・経済見通しでは、2024年末時点の政策金利は4.4%前後、25年末は3.4%となった。

ムサレム氏は利下げペースは慎重であるべきとしたほか、インフレ率は今後数四半期で2%に回帰すると予想し、雇用市場の現状は強い経済と一致しているとの認識を示した。

「現在の経済状況を考えると、大き過ぎて早過ぎる緩和のコストは小さ過ぎて遅過ぎる緩和のコストよりも大きいと私は見ている」と説明。「というのも、粘着性のある、あるいは比較的高いインフレは、FRBの信頼性、将来の雇用、経済活動を脅かすためだ」と語った。

「インフレ率が(2%目標に)収束しなくなる可能性はある」と指摘。「しかし、インフレが2%を上回って固まる、もしくは今の水準から上昇するリスクは低減したと私は考えている」と話した。

また、金融環境は総じて経済活動を支え続けているとした。景気拡大が続くとの見通しを示しつつ、米大統領選の結果が不透明なため、活動を手控える企業もあると指摘した。

セントルイス地区の企業などからは「25年までは何とかやっていく」という話をよく聞くため、金利の先行きや選挙に関する一定の不透明感が解消されれば「投資や支出が大きく促進される」と想定するようになったと語った。

ロイター
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