ニュース速報
ビジネス

アブダビ国営石油、独化学大手コベストロを160億ドルで買収へ

2024年10月02日(水)00時24分

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)は、ドイツの素材化学大手コベストロを、負債を含めて147億ユーロ(163億ドル)で買収する契約を締結した。2022年5月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ベルリン/ドバイ 1日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)は、ドイツの素材化学大手コベストロを、負債を含めて147億ユーロ(163億ドル)で買収する契約を締結した。湾岸諸国による外国企業の買収としては最大規模の1つで、世界的にクリーンエネルギーへの移行が進む中、石油産業への依存度を減らす取り組みの一環となる。

コベストロ1株に付き62ユーロを現金で支払い、約30億ユーロの負債も引き受ける。買収により、石油化学やガス、再生可能エネルギーでの成長を目指す。ADNOCはコベストロの財務改善を図るため、コベストロの新株11億7000万ユーロ分を追加購入することも明らかにした。

コベストロの株価は上昇し、約3年ぶりの高値を付ける場面もあった。コベストロはバイエルの事業から独立する形で2015年に設立された。買収提案に基づき、ADNOCはコベストロ株の過半数を取得することになる。

今回の取引は、景気が低迷する中、国内の優良企業が外国企業による買収されることについてドイツで議論を巻き起こす可能性がある。ドイツのコメルツ銀行とドイツ政府は、イタリアの銀行ウニクレディトによる買収の動きに反発している。

ADNOCがコベストロの事業売却や大幅な縮小はせず、技術と知的財産を保護することも約束したと、コベストロは明らかにした。コベストロのマルクス・スタイレマン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、2028年までの任期を務める予定だと話した。

アナリストなどはロイターに対し、今回の買収合意は、中東と欧州の間での企業の合併・買収(M&A)の増加を浮き彫りにしていると指摘する。米国企業に比べて低い欧州企業の価値に魅力があるほか、規制緩和により買収しやすい環境となっているためだ。

ディールロジックによると、中東勢による企業買収としては、イスラエル製薬大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズが2015年に米同業アラガンのジェネリック(後発医薬品)部門を約400億ドルで買収したのに次ぐ、2番目の大型買収となる。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル防空網、イランの攻撃に準備万全 米が攻撃

ワールド

ウクライナ東部要衝ウグレダル中心部にロシア軍、維持

ビジネス

米求人件数、8月は804万件に増加 採用低調で労働

ビジネス

アブダビ国営石油、独化学大手コベストロを160億ド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 2
    ジェットスキーのロシア兵を、FPVドローンが「排除」...背後から追跡、爆発するまでの緊迫映像をウクライナが公開
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    欧州でも「世紀の豪雨」が町を破壊した...100年に1度…
  • 5
    KATSEYEが韓国ハイブと米ゲフィンの手でデビュー、K…
  • 6
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 7
    イランがイスラエルに報復できる手段は限られている…
  • 8
    年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債…
  • 9
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 10
    ドイツもやってる! キルギスなどロシア周辺国に「違…
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッション」に世界が驚いた瞬間が再び話題に
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 5
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    50年前にシングルマザーとなった女性は、いま荒川の…
  • 8
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 9
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 10
    欧州でも「世紀の豪雨」が町を破壊した...100年に1度…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 5
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンシ…
  • 6
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中