米ボーイング機運航40社以上で機体部品に懸念、米運輸安全委が警鐘
9月30日、米運輸安全委員会(NTSB)は外国航空会社40社以上で安全性に懸念のある部品を搭載したボーイング737型機を運航している可能性があると発表した。写真は米ワシントン州にあるボーイングの工場。6月代表撮影(2024年 ロイター)
David Shepardson
[ワシントン 30日 ロイター] - 米運輸安全委員会(NTSB)は30日、外国航空会社40社以上で安全性に懸念のある部品を搭載したボーイング737型機を運航している可能性があると発表した。
NTSBは、2月にユナイテッド航空の737MAX8型機がニューアーク空港に着陸した際、ラダー(方向舵)ペダルがニュートラルの位置でスタックした問題を調査。一部の737型機のラダー制御システムに故障する可能性がある判断し、26日にボーイングと連邦航空局(FAA)に「緊急安全勧告」を行っていた。
またNTSBは30日、外国の航空2社が2019年にラダー制御部品の1つであるロールアウト・ガイダンス・アクチュエーターに関連してラダーペダルで同様の問題が発生していたことを突き止めたと明らかにした。
その上で「低空飛行中や着陸中にロールアウト・ガイダンス・アクチュエーターが機能しなくなると、乗務員は何を予期するべきか分からないかもしれない」と警鐘を鳴らし、故障は「受け入れられない」と厳しい姿勢を示した。
NTSBのホメンディ委員長は連邦航空局(FAA)のウィテカー長官に宛てた書簡で「他の航空会社が737型機にこうしたアクチュエーターが搭載されていることに気付いていない可能性を懸念している」と表明した。
NTSBとFAAは、どの航空会社がこうした部品を運行機に搭載している可能性があるかは名指ししなかった。FAAは勧告を重く受け止め、10月に追加のシミュレーターテストを行う予定だと明らかにした。
ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)の広報は1日、予防措置として、NTSBが指摘した部品を取り外す準備段階にあるとした上で、運航への影響はないとした。影響を受けるのが何機か評価中という。
日本航空(JAL)の広報は、同社所有の737型機でNTSBが指摘した部品を使用しているものはないと述べた。
ボーイング機を巡っては、アラスカ航空の新型MAX9型機が飛行中に主要ボルト4本の欠落によって機体の一部が吹き飛ぶ事故が1月に発生。以降、安全性に関する問題が相次いでおり、今回はラダー関連で懸念が新たに加わった形だ。