米東海岸で港湾スト突入、1977年以来 物流混乱の懸念
10月1日、米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が、ストライキに突入した。写真は9月、ニュージャージー州ニューアークで撮影(2024年 ロイター/Caitlin Ochs)
Doyinsola Oladipo
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が1日、ストライキに突入した。全米の海運の約半分を担う36カ所の港湾に影響し、食品から自動車に至るまで幅広い物流活動が停滞するとみられる。
港湾労働者約4万5000人を抱える国際港湾労働者協会(ILA)が使用者団体の米海運連合(USMX)と進めてきた新たな労働協約を巡る交渉が9月30日の期限を前に決裂していた。
ILAがストを実施するのは1977年以来で、1日当たり数十億ドルの経済損失をもたらし、物価を押し上げて雇用も脅かすとアナリストは警告する。
ILAのハロルド・ダゲット会長は先に、海運大手マースクとその港湾運営子会社APMターミナルズが適切な賃金引上げを提示しておらず、港湾自動化事業の停止要請にも応じなかったと述べていた。USMXは9月30日の発表文で約50%の賃上げを提示したと表明した。
バイデン米政権の高官らはUSMXとILAの双方と面会して合意を促してきたが、政府が介入してストを阻止する可能性は排除してきた。
全米商工会議所のスザンヌ・クラーク会頭は30日、バイデン大統領に対し「協約を巡る対立が米経済にこれほどのショックをもたらすのを容認するのは良識を欠いている」と述べて再考を促した。
ストに入り、ホワイトハウスはコメント発表していないが、当局者はロイターに、ストが短期で終わることを望むと述べ、9月29日にUSMXとILAが協議が再開し、この24時間に意見の隔たりを縮めたと指摘した。
海上輸送を利用する企業からは懸念の声が上がっている。
自動車の部品調達や輸送を手掛けるHCSインターナショナルのスティーブ・ヒューズ最高経営責任者(CEO)は、ILAが「全米を窮地に追い込んでいる」とし、「ひどいことになると強く懸念している」と述べた。
米小売大手ウォルマートと米会員制倉庫型量販店コストコは影響の軽減に尽力しているとコメントした。
ニューヨーク州のホークル知事は、食品供給業者や生活必需品にすぐ影響が出るとは思わないが、ストが長期化すれば影響が拡大する可能性があると述べた。
海上運賃設定プラットフォーム、Xenetaのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は、「ストライキ自体は政府が介入するまで5─7日程度続くと予想している。しかし、その波及効果は少なくとも1月か2月まで、欧州、アジアに至るネットワーク全体に及ぶ可能性がある」と指摘。「現在、スポット市場では、ヨーロッパから米国東海岸に向かう大西洋横断前線貨物の運賃が約20%上昇している」とした。
マースクは、10月21日から米東海岸とメキシコ湾岸の港湾で取り扱う全て貨物に、1コンテナ当たり1500─3780ドルの港湾混乱サーチャージ(追加料金)を導入するとしている。