バーツ高、輸出や観光に打撃=タイ中銀
9月30日、タイ中央銀行は通貨バーツの急速な上昇は輸出や観光に打撃を与えていると指摘した。バンコク港で2016年5月撮影(2024年 ロイター/Jorge Silva)
[バンコク 30日 ロイター] - タイ中央銀行は30日、通貨バーツの急速な上昇は輸出や観光に打撃を与えていると指摘した。バーツ高は、円や人民元に対しドルが弱含んでいることが背景とした。
チャヤワディー総裁補は記者団に、中銀はバーツの変動を管理しているとした上で、バーツ高は輸出業者が利益をバーツに交換する際に影響を及ぼし、観光支出にも打撃を与えると述べた。
バーツはこの日、1ドル=32.235バーツと31カ月ぶり高値を付けた。年初からの上昇率は5.8%と、アジア新興国通貨でマレーシアリンギに次ぐ高さとなっている。
中銀と財務省は今週、会合を開くことになっており、バーツ動向やインフレ目標が討議されるとみられている。
政府は中銀に利下げ圧力をかけているが、中銀は抵抗し5会合連続で政策金利を2.50%に据え置いている。次回の金融政策会合は10月16日。
<8月の国内経済は横ばい>
中銀は、8月の国内経済が前月とほぼ同水準だったとの認識を示した。輸出と製造業が経済活動を支えたが、観光産業は鈍化した。
8月の輸出は前年同月比11.4%増、輸入は8.5%増、貿易黒字は24億ドル。
8月の経常黒字は14億ドル。7月改定値は1億ドルだった。農産品の輸出の加速した。貿易相手国で農産品が不足していたことが背景。
8月の民間消費は前月比0.5%増、民間投資は3.3%減だった。
観光産業は鈍化した。一時期拡大していた入国者数が減少した。
第2・四半期国内総生産(GDP)は前年同期比2.3%増だったが、アナリストは財政政策の不透明感が先行きの重しになっていると指摘している。
中銀は今年の経済成長率を2.6%と予測。昨年は1.9%だった。