ニュース速報
ビジネス

米国債市場の流動性、FRB引き締め前の水準に=ニューヨーク連銀

2024年09月24日(火)02時48分

米ニューヨーク連邦準備銀行は23日、米国債市場の流動性が連邦準備理事会(FRB)による2022年の利上げ開始前の水準に戻ったことを明らかにした。2021年5月撮影(2024年 ロイター/Andrew Kelly)

Davide Barbuscia

[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米ニューヨーク連邦準備銀行は23日、米国債市場の流動性が連邦準備理事会(FRB)による2022年の利上げ開始前の水準に戻ったことを明らかにした。

調査統計グループの資本市場調査責任者マイケル・フレミング氏が、「24年の国債市場の流動性が、現在の金融引き締めサイクル開始前の水準まで改善していることが示されている」と連銀のブログに投稿した。

フレミング氏は、流動性の指標である、国債の最高入札価格と最低売り出し価格の差を分析。23年3月の米地方銀行破綻などを巡る余波でスプレッドは拡大したが、23年半ば以降は狭く安定している。

最高入札価格とオファー価格で売買できる国債の平均量も23年3月以降は増加を示している。ただ、今年8月初旬には市場予想を下回る米雇用統計と日銀による予想外の利上げによって金融市場が動揺したことで、一時的に減少した。

このほか、国債の買い手もしくは売り手が取引を開始した際の価格変動の改善状況も分析した。23年3月の混乱期には急上昇したが、その後は21年後半と22年初めに見られた水準にまで低下し、24年8月初めに一時的に再上昇したとも指摘した。

FRBがインフレ抑制のために利上げを開始して以来、米国債価格が大きく下落するなど変動が大きかったため、取引時に価格が大きく上下しない状況をもたらす流動性は過去数年間で悪化していた。

米財務省などは近年、米国の債券市場での取引要件を改善し、混乱を回避するための取り組みを始めている。

それでも多くの市場参加者は、20年3月に新型コロナウイルス禍に直面した際に流動性が急速に悪化したような市場の脆弱性が、ボラティリティが急上昇したり過剰な国債発行が続いたりすることで再び起きる可能性があると懸念している。

フレミング氏は「大規模な取引を円滑に処理する市場の役割は20年3月以来の懸念事項だ。国債市場の流動性を注意深く監視し、市場の回復力を向上させるための継続的な取り組みが必要だ」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがヒズボラ攻撃拡大、356人死亡・120

ビジネス

米大幅利下げは正しい決定、労働市場軟化リスク踏まえ

ワールド

中東紛争拡大なら「取り返しのつかない」結果、イラン

ワールド

国連高官、ガザでの「残虐行為の終結」要請 国連職員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...医師が警鐘を鳴らす
  • 3
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない生物」が描かれていた「謎」...南ア大学チーム
  • 4
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 5
    キャンプ中、アリの大群に襲われた男の「悪夢」...這…
  • 6
    「ゾッとした」「未確認生物?」山の中で撮影された…
  • 7
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 8
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がん…
  • 9
    中国「愛国ビジネス」暴走、日本人襲撃...中国政府は…
  • 10
    日本人の知らないレンガ建築の底知れない魅力
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 3
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS攻撃の衝撃シーンをウクライナ無人システム部隊が公開
  • 4
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 5
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
  • 8
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 9
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 10
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
  • 10
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中