ニュース速報
ビジネス

FRBの0.5%利下げは「正しい決断」=ミネアポリス連銀総裁

2024年09月23日(月)23時16分

 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は23日、米連邦準備理事会(FRB)の先週の0.5%利下げ決定はインフレの大幅な進展と失業率上昇のリスクを考慮して「正しい決断」だったと述べた。カリフォルニア州ビバリーヒルズで5月撮影(2024年 ロイター/David Swanson)

[23日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は23日、米連邦準備理事会(FRB)の先週の0.5%ポイント利下げ決定はインフレの大幅な進展と失業率上昇のリスクを考慮して「正しい決断」だったと述べた。

カシュカリ氏は、小論文で「リスクのバランスは、インフレ率の上昇から労働市場の一段の鈍化リスクへシフトしており、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標の引き下げが正当化される」と述べた。

カシュカリ氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有していない。最近までタカ派的な立場で、インフレ抑制に向け引き締め政策をより長く続ける必要があると主張していた。

小論文発表後にCNBCに出演したカシュカリ氏は、0.5%ポイントの緩和はよい第一歩であり、その後も金利の全体的な水準は依然として経済的に制約的だと述べた。さらに、大幅な利下げを支持していたが、別の利下げ幅を支持する可能性もあったと指摘。「0.25%ポイントも0.5%ポイントも妥当だったと思う。最終的にはFOMCが0.5%ポイントのほうが理にかなっていると判断した」とした。

カシュカリ氏は現在、積極的な行動の必要性は低いと考えている。年内残り2回の会合で0.25%ポイントの利下げを支持するかとの質問に対し、同氏は「それは私がチャートに書き込んだ通りだが、もちろん皆が言うように、データがどう導くかによる」と述べた。

小論文に盛り込まれたチャートでは、FRB当局者の金利・経済見通しと同様、年内2回の会合で0.5%の利下げ、来年さらに1%の利下げを予想した。

予想通りなら政策金利は、経済をふかしも冷やしもしない中立金利と同氏が考える水準を0.5%ポイント上回る水準になるが、実際の経路は今後得られるデータ次第になるとした。

FRBが注視する個人消費支出(PCE)価格指数は前年比上昇率が2.5%に鈍化した。この水準はインフレとの戦いの勝利を示すものではないが、実質的な前進を示すと指摘した。

ここ数カ月のトレンドは「ディスインフレプロセスが軌道に乗っている」ことを示し、インフレ率が今後予想外に上触れする可能性はほとんどないとした。

一方、労働市場は減速の兆候を示し、失業率は4.2%となお低水準ながら昨年よりは上昇していると指摘。CNBCの番組では、「われわれは全員、まだ勝利宣言するのは気が進まないと思う。しかし、リスクは明らかに、高すぎるインフレから雇用の鈍化へと移行している」と語った。

それでも、個人消費と経済成長は驚くほど底堅く、「混乱させる」データが混在しているが、景気後退圧力が高まっていることを示唆するものではないと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBの0.5%利下げは「正しい決断」=ミネアポリ

ビジネス

ウニクレディト、コメルツ銀保有率21%に デリバテ

ビジネス

米政権、つながる車から中国製ソフト排除へ 安全保障

ワールド

イスラエルが対ヒズボラ攻撃拡大、100人死亡 住民
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...医師が警鐘を鳴らす
  • 3
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない生物」が描かれていた「謎」...南ア大学チーム
  • 4
    「ゾッとした」「未確認生物?」山の中で撮影された…
  • 5
    「飢えたクマ」の恐ろしさを実感...玄関を打ち破ろう…
  • 6
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 7
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がん…
  • 8
    日本人の知らないレンガ建築の底知れない魅力
  • 9
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 10
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 3
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 4
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 5
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 8
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
  • 9
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 10
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
  • 10
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中