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NY市場サマリー(17日)S&P伸び悩み、ドル上昇、利回り上昇

2024年09月18日(水)07時39分

<為替>  ニューヨーク外為市場で、ドルが大半の通貨に対して上昇した。米国の8月の小売売上高が予想外に増加したことで、米連邦準備理事会(FRB)が17─18日の会合で大幅な利下げには踏み切らないとの見方が出ている。

商務省発表の8月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.1%増と、エコノミスト予想(0.2%減)に反して増加。第3・四半期の大半を通して米経済が堅調に推移している可能性が示唆された。

ステート・ストリート(ボストン)のシニア・グローバル市場ストラテジスト、マービン・ロー氏は「小売売上高はまずまずで、性急に大幅利下げを実施する必要が差し迫っていることを示すものではなかった」と指摘。同時に「現時点ではあらゆる市場が18日まで開かれている連邦公開市場委員会(FOMC)の人質のようになっている」とも述べた。

メルク・インベストメンツ(カリフォルニア州)のプレジデント兼最高投資責任者(CIO)、アクセル・メルク氏は「向こう数カ月にわたり複数回の利下げが行われるとの観測が市場で織り込まれている」とし、「市場が先走っている可能性があるとの見方も一部で出ている」と述べた。

フェデラルファンド(FF)金利先物は、63%の確率で今回のFOMCで0.50%ポイントの利下げが決定されるとの予測を織り込む水準にある。FRBが利下げを決定すれば、新型コロナウイルス感染が世界的に拡大していた2020年3月以来。

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。ただ、指標10年債利回りは一時、16カ月ぶりの低水準を付ける場面があった。この日発表された8月米小売売上高は予想外に増加し、米連邦準備理事会(FRB)が18日まで開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の大幅利下げを行う緊急性はないことを示唆した。

10年国債利回りは一時3.599%と、2023年5月以来の低水準を付けた。その後は上昇し、終盤では3.642%となった。

この日行われた20年債入札の需要は期待外れだった。応札倍率は2.51倍と、5月以来の低水準を記録した。

カーバチュア・セキュリティーズの債券取引責任者トム・ディ・ガロマ氏は「これは機関投資家が、債券市場は先走りしているのではないかと疑問を抱き、明日のFOMCを前にリスクを減らしたことを示している」と指摘した。

2年債利回りは3.7bp上昇の3.592%。

<株式> 米国株式市場はほぼ変わらずで取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を18日に控え、取引時間中の最高値を付けたS&P総合500種は上げ幅を縮小した。ダウ工業株30種も値を消した。

直近の経済統計により米経済の急減速懸念が和らぎ、S&P総合500種は序盤に5670.81を付けた。

17日発表の8月の小売売上高は前月比0.1%増と、エコノミスト予想(0.2%減)に反しプラスとなった。経済が第3・四半期も底堅く推移している様子を示唆した。

CMEのフェドウォッチによると、市場は米連邦準備理事会(FRB)が今回のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げを行う可能性を65%織り込んでいる。利下げ幅を巡り市場予想はここ数日変化している。先週時点で50bpの利下げ確率はわずか34%だった。

マイクロソフトは0.88%上昇し、S&P総合500種を押し上げた。取締役会が600億ドル規模の自社株買いを承認し、四半期配当を10%引き上げたことが好感された。

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策決定を翌日に控えてポジション調整の売りが優勢となり、続落した。

市場は、FRBが17─18日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ることを確実視しているものの、利下げ幅を巡っては見方が分かれており、この日は決定を前にポジションを調整する動きが中心となった。

米商務省が朝方発表した8月の小売売上高は前月比0.1%増と、市場予想(ロイター調査)の0.2%減を上回る内容。FRBがその後発表した8月の鉱工業生産指数は、前月比0.8%上昇の103.1となり、市場予想(0.2%上昇)を大きく上回った。それぞれ景気の底堅さを示唆する内容となったことから、外国為替市場ではドル買い・ユーロ売りが先行。ドル建てで取引される金の割高感が意識されたことで、相場を下押しした。

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ハリケーンの影響による根強い供給懸念や米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待などを背景に続伸した。

米内務省安全環境執行局(BSEE)が16日した報告によると、ハリケーン「フランシーヌ」が先週襲来した米メキシコ湾岸周辺では、原油生産の約12%、天然ガス生産の約16%がまだ復旧していない。需給が引き締まるとの懸念が継続し、原油買いが先行。相場はほぼ一本調子で上昇し、一時72ドル台に迫った。

米原油在庫の減少予想も買い地合いを支援した。米石油協会(API)、米エネルギー情報局(EIA)が17日夕、18日午前にそれぞれ発表する週報では、前週比50万バレルの在庫取り崩し(ロイター調査)が見込まれている。

ドル/円 NY終値 142.40/142.42    

始値 140.66    

高値 142.47      

安値 140.49      

ユーロ/ドル NY終値 1.1113/1.1114    

始値 1.1134    

高値 1.1143      

安値 1.1112      

         

  米東部時間      

30年債(指標銘柄) 17時05分 105*02.00 3.9595%

  前営業日終値 105*15.00 3.9370%  

10年債(指標銘柄) 17時05分 101*28.00 3.6475%

  前営業日終値 102*03.00 3.6210%  

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*26.25 3.4430%

  前営業日終値 100*31.75 3.4050%  

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*08.50 3.6069%

  前営業日終値 100*11.63 3.5550%  

         

   終値 前日比 %  

ダウ工業株30種 41606.18 -15.90 -0.04

 前営業日終値 41622.08      

ナスダック総合 17628.06 +35.93 +0.20

 前営業日終値 17592.13      

S&P総合500種 5634.58 +1.49 +0.03

 前営業日終値 5633.09      

         

COMEX金 12月限 2592.4 ‐16.5  

前営業日終値 2608.9      

COMEX銀 12月限 3097.9 ‐15.6  

前営業日終値 3113.5       

北海ブレント 11月限 73.70 +0.95  

前営業日終値 72.75      

米WTI先物 10月限 71.19 +1.10  

前営業日終値 70.09      

CRB商品指数 278.6614 +1.8061  

前営業日終値 276.8553      

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