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市場環境は現状不安定、利上げ経路に予断持たず=中川日銀委員

2024年09月11日(水)16時10分

 9月11日午後、日銀の中川順子審議委員は記者会見で、先行きの政策金利のパスや緩和度合いの調整ペースは今後の経済・物価・金融情勢次第であり、「現時点で金融市場の環境が不安定なことを踏まえて、何ら予断を持っている状況ではない」と述べた。写真は3月、都内の日銀本店付近で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[秋田市 11日 ロイター] - 日銀の中川順子審議委員は11日午後の記者会見で、先行きの政策金利のパスや緩和度合いの調整ペースは今後の経済・物価・金融情勢次第であり、「現時点で金融市場の環境が不安定なことを踏まえて、何ら予断を持っている状況ではない」と述べた。

中川委員は同日午前の秋田県金融経済懇談会でのあいさつで、先行き日銀の経済・物価見通しが実現していくとすれば、物価目標実現の観点から金融緩和の度合いを調整していくことになると述べた。この発言も一因となり、外為市場では円高が進んだとみられている。

あいさつで言及した物価上振れリスクについては、企業の価格転嫁が為替の変動より少しずれて発現してくる可能性として言及したと説明した。価格転嫁による物価の上昇と為替の落ち着きによる上昇分の打ち消しがどうなるか、引き続き注視したいと述べた。

中川委員は為替の動向について、円高見通しが以前より増えているとの声も聞かれるが「この1―2年を振り返ると、時にはゆっくりと時には急激に円安方向に為替が動いてきた」と指摘。企業へのヒアリングを踏まえると「価格転嫁が100%なされているかと言えば、そういうことでもないように見受けられる」と話した。

その上で、もう少し長い目で重視していく必要がある論点として、あいさつで物価上振れリスクを挙げたと説明した。

利上げの道筋との関連で重要になる中立金利については「中立金利は推計値であり、レンジは極めて幅が広い」と指摘。短期金利の変化に対して経済・物価がどのように反応するか点検していくことも重要で、その中で適正な水準を探ることになると話した。

ロイター
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