中国の国泰君安証券、海通証券を買収 業界最大手誕生へ
9月6日、中国上海に拠点を置く国泰君安証券は、競合の海通証券を株式交換方式で買収する。写真は国泰君安証券のオフィス。中国の上海で2022年5月撮影(2024 ロイター/Aly Song)
Selena Li Samuel Shen Julie Zhu
[香港 6日 ロイター] - 中国上海に拠点を置く国泰君安証券は、競合の海通証券を株式交換方式で買収する。両社が5日に発表した。
国営証券会社2社の合併により、資産総額2300億ドルの業界最大手が誕生することになる。
アナリストは今回の買収について、厳しい市場環境下で1兆7000億ドル規模の業界を統合しようとする中国政府の取り組みの一環であると指摘。今後こうした動きが加速するとの見方を示している。
合併後の総資産は1兆6000億元(2256億ドル)と、中信証券に取って代り、国内最大の証券会社となる。
上海秋陽予梁投資管理のファンドマネージャー、Huang Yan氏は「これは業界全体の再編の始まりを示し、大手証券会社間の合併がさらに進むだろう」と述べた。
華泰証券はリサーチノートで、中国の証券業界の統合は今後加速し、同じシステム内の国有株主が支援する企業に焦点が当てられるとの見方を示した。
中国政府は140社を超える国内外企業が競合する証券業界の再編を促し、業界改革の必要性を訴えている。
華創証券のアナリスト、Xu Kang氏は合併を巡る市場の期待がさらに高まるとの見方を示し、中国国際金融(チャイナ・インターナショナル・キャピタル)と銀河証券、中信証券と中信建投証券の組み合わせがあり得ると指摘した。
国泰君安による海通買収のニュースを受けて、中国株式市場では証券株が上昇した。中信証券は一時8%上昇し、銀河証券は10%高と2カ月ぶりの高値を付けた。
中国上場証券会社で構成する指数は一時2.6%高、CSSW証券株指数は2.2%高となった。
景気減速を背景とした新規株式公開(IPO)など資本市場取引の減少や市場の不安定化が証券業界の収益を圧迫しており、特に中小証券会社が大きな打撃を受けている。
国聯証券はリサーチノートで、中国の上場証券会社43社は上半期の収入が前年同期比16%減少し、純利益は20%以上減少したとの見方を示した。
モルガン・スタンレーはリポートで、今回の合併は、厳しい市場サイクルと規制の厳格化を背景に、証券業界で「供給側改革」が始まろうとしているという前向きなシグナルを市場に送る可能性があると分析した。
「短期的にはM&A(合併・買収)の可能性がある企業を中心に、証券株全般に対する投資家の関心が再び高まる可能性があるとみている」と記した。