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午後3時のドルは急落145円前半、日米金融政策への思惑材料に需給調整

2024年08月19日(月)15時24分

 8月19日 午後3時のドルは、前週末のニューヨーク市場終盤(147.58/62円)から約2円超急落し145円前半で取引されている。写真は1ドル紙幣で、2021年11月撮影(2024年 ロイター/Murad Sezer)

Mariko Sakaguchi

[東京 19日 ロイター] - 午後3時のドルは、前週末のニューヨーク市場終盤(147.58/62円)から約2円超急落し145円前半で取引されている。日米の金融政策を巡る思惑を背景としたポジション調整の動きや日経平均株価の下落などで円が買われ、ドルの売り圧力が強まった。ドルは午後3時過ぎに一時145.22円付近と8月7日以来の安値まで下落した。

ドルは朝方に一時148.05円付近まで上昇。時間外取引の米長期金利の小幅な上昇や値ごろ感からドルの買い戻しが入った。仲値公示にかけてドルは売り買いが交錯した後、じりじりと軟化した。

午後に入りにドルは対主要通貨で売られ、対円では145円前半まで下落。先週に149円台に上昇した反動からポジション調整目的の売りが加速。日経平均株価が一時700円を超える下落となり、クロス円が下落したほか、時間外取引の米長期金利が低下したことも、ドル売りを促した。

ドル指数は102.01付近と、1月以来の水準まで下落。テクニカル的には「102を下抜ければ、23年年末に付けた安値100.50付近を目指す展開となりやすい」と、あおぞら銀行のチーフマーケットストラテジスト、諸我晃氏はみる。

週後半の衆参両院の閉会中審査に出席する植田和男日銀総裁の答弁や、米ワイオミング州ジャクソンホールでのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控える中、「日米の金融政策を巡る思惑から円買い/ドル売りの動きがでているのではないか」と、SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は指摘。植田総裁が金融正常化を進めるとの考えを述べるとの見方や、パウエルFRB議長が9月の利下げを明確にするのではないかとの見方など思惑が交錯しているとみる。

<IMM通貨先物は21年3月以来の円買い越し>

米商品先物取引委員会(CFTC)が17日発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(13日時点)に基づくロイターの集計で、2021年3月以来3年5カ月ぶりに円が2万3104枚の買い越しに転じた。前週は1万1354枚の売り越しだった。

トレイダーズ証券の市場部長、井口喜雄氏は、「ドルの下方向を見越して、機関投資家は早めに動いているようだ」と話す。ただ、井口氏は「円が大きくこのまま買い越されることは考えにくい」との見方で、市場が落ち着きを取り戻せば「再び日米金利差に目が向きやすい」という。

あおぞら銀行の諸我氏は「ボラティリティーの低下に伴い、円キャリーの動きが徐々に再開しやすい」として、短期的には200日移動平均線の151.50円付近までドル/円が上昇する局面があってもおかしくないと指摘。ただ、ドルのトレンドとしてはレンジを切り下げながら下方向にあるとの見方を示す。

ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時現在 145.42/145.43 1.1047/1.1048 160.66/160.68

午前9時現在 147.96/147.97 1.1024/1.1025 163.12/163.13

NY午後5時 147.58/147.62 1.1028/1.1029 162.77/162.81

ロイター
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