英7月CPI、前年比+2.2%で予想下回る 利下げ観測強まる
8月14日、英国立統計局(ONS)が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%上昇し、6月から伸びが加速した。写真はロンドンで2022年2月撮影(2024年 ロイター/Paul Childs)
[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%上昇し、6月から伸びが加速した。英インフレ率が加速するのは今年初めて。
ただ、ロイターが集計したエコノミスト予想の2.3%は下回り、イングランド銀行(英中央銀行)が注目するサービスインフレ率は大幅に鈍化した。
CPI統計の発表後、ポンドは対ドルで急落。金融市場が織り込む英中銀が9月に0.25%の利下げを実施する確率は44%となり、統計発表前の36%から切り上がった。
英CPI伸び率は5月、中銀目標の2%に約3年ぶりに戻り、6月も2%で横ばいだった。中銀が今月、政策金利を16年ぶり高水準から引き下げた際、5月と6月がインフレ率の下限との見方を示していた。
中銀は、2023年のエネルギー価格急落の影響が薄れるにつれて、CPI伸び率は7月に2.4%に加速し、年末には2.75%程度に達すると予想。26年上期には再び2%付近に戻ると見込んでいる。
英産業連盟のチーフエコノミスト、マーティン・サルトリウス氏は「今日の統計は、国内の物価上昇圧力が2%目標への持続可能な回帰を頓挫させる可能性は低いという確信を中銀に与えるだろう」と述べた。
物価上昇は足元では一服しているが、多くの家計は過去2年間の急激な物価高になお苦慮。ダレン・ジョーンズ財務次官は統計について、労働党新政権が困難な経済的遺産を受け継いだことを示しており、事態の改善に向けて厳しい決断を下す必要があるとの姿勢を改めて示した。
<ホテル代は下落>
7月のサービス部門のインフレ率は5.2%で、6月の5.7%から鈍化。予想の5.5%を下回り、22年6月以来の低水準となった。
サービスインフレ率の鈍化は、6月のホテル代急騰の反動に加えて、航空運賃、路上での車の故障時の支援サービス、パッケージホリデー、ライブ音楽を含む文化サービスの価格下落圧力を反映している。
6月の物価上昇の一部は、米人気歌手テイラー・スウィフトさんを始めとする有名パフォーマーによる英国ツアーによるものだと考える向きも多いが、統計局は明確な関連性を示すことはできないとしている。
13日に発表された4─6月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比5.4%だった。ロイターがまとめた市場予想と一致し、22年8月以来の低い伸びとなった。
一方、この統計では失業率の予想外の低下も示されており、エコノミストらは、英中銀は引き続き利下げに慎重な姿勢で臨むとみている。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジスト、アーロン・フセイン氏は「成長率に重大なショックがなければ、利下げサイクルは段階的なものとなり、緩和は四半期ごとのペースとなる可能性が高い。利下げが間近に迫っていると期待する投資家は失望することになるだろう」と述べた。
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