FRBの現行政策、物価目標達成に「適切」=NY連銀総裁
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁(写真)は30日、米連邦準備理事会(FRB)の現在の金融政策はインフレ率を2%に戻すのに適切との考えを示した。2019年3月撮影(2024年 ロイター/Lucas Jackson)
Michael S. Derby
[ニューヨーク 30日 ロイター] - ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は30日、米連邦準備理事会(FRB)の現在の金融政策はインフレ率を2%に戻すのに適切との考えを示した。ただ、FRBが利下げに着手できるかは分からないと改めて述べた。
ウィリアムズ総裁はニューヨークのエコノミック・クラブで行った講演で「金融政策が(インフレ)目標達成に役立つ形で引き締め的であることが、過去1年間の経済動向で十分に証明されている」とし、「目標達成に向け、これまでに達成された進歩を継続する上で、現在の金融政策のスタンスは良好な位置にあると考えている」と述べた。
その上で「堅調な労働市場を維持しながらインフレ率を持続的に2%に戻すための政策決定を下せるよう、引き続きデータ全体を注視していく」と語った。
今後の金融政策について、「ある時点」で利下げが実施できる状況になるとしながらも、いつになるかは不明と言及。現在の金融政策設定の下で経済が好調に推移していることを踏まえると「利下げの緊急性は感じていない」と述べた。
FRBはどの程度の利下げを行う可能性があるかとの質問に対しては、利下げの時期が不明なときに、利下げの規模について語ることはできないと述べた。
このほか、FRBは今のところ金利を変更する圧力に直面していないと指摘。政策を調整する前にデータを精査する時間があるとし、データが変化すればFRBの政策見通しも変わると市場は理解していると語った。
ウィリアムズ総裁は講演で物価動向について、インフレ率は依然として高すぎると指摘。年初からの物価動向は期待外れだったと述べた。同時に、経済のバランス改善により下半期にかけて物価圧力は緩和するとの予想を示した。
米国の3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.7%上昇。ウィリアムズ総裁は同指数の上昇率は今年は2.5%近辺になり、来年は2%に「近づく」との見方を示した。
雇用情勢については、労働市場はなお逼迫しており、賃金上昇率は2%のインフレ目標に見合うにはなお高すぎると指摘。失業率は現在の3.9%から、年内に4%に上昇するとの見方を示した。
米経済成長率については、2024年は2.0─2.5%になるとした。
FRBは6月11─12日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定するとの予想が大勢となっている。