米モデルナ工場でコロナワクチン原薬製造巡り不備、FDAが査察報告
ロイターが米情報自由法(FOIA)に基づいて入手した米食品医薬品局(FDA)の報告書によると、FDAが9月に実施した査察で、米バイオ企業モデルナが新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス」の原薬や、独メルクと開発中のメッセンジャーRNA(mRNA)の実験用がんワクチンを管理不十分な設備で製造していたことが分かった。写真は2021年12月撮影(2023年 ロイター/DADO RUVIC)
[15日 ロイター] - ロイターが米情報自由法(FOIA)に基づいて入手した米食品医薬品局(FDA)の報告書によると、FDAが9月に実施した査察で、米バイオ企業モデルナが新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス」の原薬や、独メルクと開発中のメッセンジャーRNA(mRNA)の実験用がんワクチンを管理不十分な設備で製造していたことが分かった。
報告書によると、FDAは9月11―21日に同社主力工場(マサチューセッツ州ノーウッド)を査察した。同社は自ら実施済みの洗浄確認テストで不合格だった装置を使ってスパイクバックスの「原薬」(mRNAワクチンの製造で使う有効成分)を製造した。この原薬が最終的にワクチンとなって接種されたかどうかは報告書は書いていない。
FDAはこの報道にコメントしなっかった。
モデルナは声明を出し、「査察結果を受けて、直ちに、かつ包括的に製造過程を更新しており、こうした対応に規制当局は満足すると確信している」と述べた、
FDAの査察に関して同社は、定期的なものであって、製品の品質や安全面での具体的な懸念を反映した報告ではないと主張。自社の新型コロナウイルスワクチンは安全で有効とも強調した。
ただ報告書によると、ワクチン製造に期限切れ原料の使用や、空気中の汚染物質混入を確実に防ぐ措置を怠っていたことも判明した。
モデルナの製造トラブルを巡っては、スペインに本拠を置く受託製造会社ロビが製造した一部の容器(バイアル)に汚染物質の混入が見つかり、日本が2021年にコロナワクチン163万回分の使用を一時停止した。モデルナの自社工場で製造上の問題が分かったのは今回が初めて。