ニュース速報
ビジネス

米モデルナ工場でコロナワクチン原薬製造巡り不備、FDAが査察報告

2023年12月18日(月)11時52分

ロイターが米情報自由法(FOIA)に基づいて入手した米食品医薬品局(FDA)の報告書によると、FDAが9月に実施した査察で、米バイオ企業モデルナが新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス」の原薬や、独メルクと開発中のメッセンジャーRNA(mRNA)の実験用がんワクチンを管理不十分な設備で製造していたことが分かった。写真は2021年12月撮影(2023年 ロイター/DADO RUVIC)

[15日 ロイター] - ロイターが米情報自由法(FOIA)に基づいて入手した米食品医薬品局(FDA)の報告書によると、FDAが9月に実施した査察で、米バイオ企業モデルナが新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス」の原薬や、独メルクと開発中のメッセンジャーRNA(mRNA)の実験用がんワクチンを管理不十分な設備で製造していたことが分かった。

報告書によると、FDAは9月11―21日に同社主力工場(マサチューセッツ州ノーウッド)を査察した。同社は自ら実施済みの洗浄確認テストで不合格だった装置を使ってスパイクバックスの「原薬」(mRNAワクチンの製造で使う有効成分)を製造した。この原薬が最終的にワクチンとなって接種されたかどうかは報告書は書いていない。

FDAはこの報道にコメントしなっかった。

モデルナは声明を出し、「査察結果を受けて、直ちに、かつ包括的に製造過程を更新しており、こうした対応に規制当局は満足すると確信している」と述べた、

FDAの査察に関して同社は、定期的なものであって、製品の品質や安全面での具体的な懸念を反映した報告ではないと主張。自社の新型コロナウイルスワクチンは安全で有効とも強調した。

ただ報告書によると、ワクチン製造に期限切れ原料の使用や、空気中の汚染物質混入を確実に防ぐ措置を怠っていたことも判明した。

モデルナの製造トラブルを巡っては、スペインに本拠を置く受託製造会社ロビが製造した一部の容器(バイアル)に汚染物質の混入が見つかり、日本が2021年にコロナワクチン163万回分の使用を一時停止した。モデルナの自社工場で製造上の問題が分かったのは今回が初めて。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクなど3社、米AIに最大5000億ドル投

ワールド

米国土安保省、全ての諮問委員解任 トランプ政権発足

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、半導体関連しっかり トラ

ワールド

TikTok、米アプリストアで利用できず 禁止措置
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノ…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 10
    米アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが大型ロケット打ち…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中