英アストラゼネカ、中国・誠益生物から肥満症薬のライセンス取得

11月9日、英製薬大手アストラゼネカは、中国のバイオ医薬品会社、誠益生物が開発する肥満症向けの経口薬「ECC5004」のライセンスを取得した。写真はアストラゼネカのロゴ。米デラウェア州 ウィルミントンで2021年3月撮影(2023年 ロイター/Rachel Wisniewski)
Ludwig Burger Maggie Fick
[9日 ロイター] - 英製薬大手アストラゼネカは9日、中国のバイオ医薬品会社、誠益生物が開発する肥満症向けの経口薬「ECC5004」のライセンスを取得した。
アストラゼネカは誠益に1億8500万ドルの前払金を支払い、さらに臨床、規制、商業的進展に応じて最大18億2500万ドルを支払う。
同薬は減量薬として効果が高いことで知られているGLP─1受容体作動薬と呼ばれるクラスの医薬品。デンマークのノボノルディスクの「ウゴービ」や米イーライリリーの「ゼップバウンド(糖尿病薬としてはマンジャロ)」なども同じクラスに属する。
アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)はメディアとの電話会議で、同社の肥満症薬開発がノボノルディスクとイーライリリーに「数年後れを取っている」ことを認めた。両社の製品は8日、米国と英国で承認された。
ソリオ氏は「しかし、わが社は次の波となる製品に取り組んでいる」と強調し、統計の出典を明かさずに、患者の約4分の3は注射よりも錠剤を好むと述べた。
ソリオ氏によると、ECC5004は3段階の臨床試験の第1段階が進められている。同薬は吸収が早く、胃の中に長く留まらないため、ノボノルディスクやイーライリリーの注射剤に伴う吐き気、下痢、嘔吐、腹痛などの副作用を軽減できる可能性がある。また同薬は小分子化合物であるため、注射剤よりも製造が簡単だという。
アストラゼネカは、ECC5004は第1相試験で効果を示しており、肥満症、2型糖尿病やその他の心代謝性疾患の治療薬として開発すると説明した。
ソリオ氏は、第2相試験が「今後数カ月で」開始されると明らかにした。