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米経済の過熱示す兆候なし、労働市場に依然改善の余地も=FRB議長
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3月1日、パウエル米FRB議長が上院銀行委員会で証言した。写真はワシントンで同日撮影(2018年 ロイター/Yuri Gripas)
[ワシントン 1日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は1日、上院銀行委員会で証言し、米経済が過熱している兆候はなく、労働市場には依然、改善の余地があり得るとの認識を示した。
議長は「経済が過熱していることを示す兆候はない」とした上で、失業率が4.1%に低下していることは、労働市場が最大雇用もしくはそれに近い状態にあるか、むしろ最大雇用をやや超えているとみなされるが、その一方で「賃金が決定的に上昇していることを示す兆候はなく、賃金インフレが加速点に達していることを示すものは何もない」と語った。
足元のリスクは、過去の金融危機からの回復時と比較して「より両面的」であり「後手に回る事態を引き起こさないことが望ましい」と述べた。
その上で、FRBは現時点で「金利の段階的な引き上げ」が可能であり、「それこそはFRBがこれまで進んできた道筋であり、今後も適切であり続けると予想される」と話した。
ダドリー米ニューヨーク連銀総裁はこの日、訪問先のブラジル・サンパウロで、今年4回の利上げが行われた場合、それは依然「緩やか」な引き締めを意味する、との考えを示した。FRBは昨年末、今年の利上げが3回との見通しを示している。
一方、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動させる方針を発表したことを受け、短期金融市場ではFRBが年内に4回の利上げを実施するとの観測が後退。米株価指標は大幅に下落した。
パウエル議長は議会証言で、貿易は「差し引きではプラス効果」があるとの見方を示したが、一部の経済主体が敗者となる結果も生じると認めた。また、「関税措置は最善策ではない。最善策とは関税に頼らず、影響を受けている人々に直接対処することだ」と語った。
市場はFRBが3月20─21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定すると予想。パウエル氏が2月27日に行った初めての議会証言を受けて、FRBが年内の利上げペースを引き上げるとの観測が広がったため、市場ではさらなる手掛かりが示されるかどうかに注目が集まっていた。
米景気拡大の裾野が広がり税制改革の押し上げ効果も期待される一方で、物価と賃金は利上げ加速が必要になるほど上昇しておらず、パウエル氏が今週2回行った議会証言では、FRB当局者らがこの両面のバランスを取ろうと苦慮している実情が浮き彫りとなった。
バークレイズのアナリストらは最近公表したノートで「見通しに対する上方リスクを認識している当局者とインフレ率に対する下方リスクを見ている当局者はおおよそ同数」と指摘。「政策を加速あるいは減速するならば、一方のグループは追加の賛同者が必要になる」と分析した。
*内容を追加します。