ニュース速報

KBN3DZ0JE

2025年01月09日(木)18時49分

1月9日、トランプ次期米大統領がデンマーク領グリーンランドの獲得に意欲を示していることについて、複数の関係筋は、一時的な思いつきではなくトランプ氏は本気だと指摘、西半球で米国の勢力圏を拡大することや自身の名を後世に残すことが狙いだと述べた。グリーンランド・イガリクで2024年7月撮影(2025年 ロイター/Ritzau Scanpix/Ida Marie Odgaard)

Steve Holland Gram Slattery Tim Reid

[ウェストパームビーチ(米フロリダ州) 9日 ロイター] - トランプ次期米大統領がデンマーク領グリーンランドの獲得に意欲を示していることについて、複数の関係筋は、一時的な思いつきではなくトランプ氏は本気だと指摘、西半球で米国の勢力圏を拡大することや自身の名を後世に残すことが狙いだと述べた。

同氏は7日、グリーンランド獲得のためには軍事力や経済的措置の利用を排除しない姿勢を示した。

内部情報に詳しいある関係筋は、グリーンランド獲得のためにトランプ氏が軍事力を行使する可能性は低いが、外交や経済で圧力をかけるといった他の手段の利用は本気で考えていると指摘。

同筋は「真の功績は米国の領土拡大だ。米国は過去70年間、全く領土を拡大していない。(トランプ氏は)その点についてよく話している」と述べた。

米国の50州のうち、アラスカとハワイは1959年に、当時のアイゼンハワー大統領の下でそれぞれ49番目、50番目の州となった。

トランプ氏に近い別の関係筋は、昨年11月の大統領選で同氏が勝利した後に陣営幹部がまとめた外交政策の優先リストを見たが、ひときわ目を引いたのが「グリーンランドの購入」だったと語る。

トランプ氏は、グリーンランドの獲得を国家安全保障上の重要課題に位置付けている。

中南米政策を担当するトランプ氏の顧問2人によると、次期政権では外交政策のリソースと関心が米州にシフトすると見込まれている。トランプ氏は基本的にこの地域を米国の裏庭と考えており、中国やロシアの影響力を警戒しているという。

また、トランプ氏の考えに詳しい3人の現・元関係者は、同氏が後世に名を残す手段として領土拡大に関心を持っていると指摘。

トランプ氏が英雄視するマッキンリー第25代大統領は、就任した1897年から暗殺される1901年までにプエルトリコやハワイなどを併合。トランプ氏は選挙戦の際、マッキンリー元大統領が高率の関税を利用したことをたびたび称賛している。

トランプ氏のある顧問は、カナダと米国を含む「スーパー米国(super U.S.)」の地図をソーシャルメディアに投稿して、グリーンランドに関する同氏の計画を説明。スーパー米国が北極圏からロシアの影響力を排除することになると主張した。

第1次トランプ政権で国家安全保障担当の顧問を務めた関係者によると、トランプ氏が初めてグリーンランド購入のアイデアを出したのは2017年で、その後19年に本格的に購入を考えるようになった。

これを受けて、ホワイトハウスではトランプ氏との一連の会合が開かれたが、米メディアが計画を報じると、デンマークが公然と拒否。結局、購入に向けた措置は講じられなかった。

1946年には当時のトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランドの購入を打診したが、デンマークから拒否されている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マイクロソフトとグーグルもトランプ氏就任基金に寄付

ワールド

カーター氏国葬、歴代米大統領ら哀悼の意 人道活動の

ワールド

トランプ氏量刑言い渡し延期可否、最高裁が判断へ 不

ワールド

トランプ氏、不仲のペンス氏と握手 カーター氏国葬で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 3
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映像に「弾薬が尽きていた」とウクライナ軍
  • 4
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 5
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 6
    「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人…
  • 7
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 8
    いち早く動いたソフトバンク...国内から「富の流出」…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    大河ドラマ『べらぼう』が10倍面白くなる基礎知識! …
  • 1
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 2
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 3
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 7
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 8
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 9
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中