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たとえ菅が辞めようと、臨時国会を開かない自民党には政権を任せられない
従って、菅首相が述べたコロナ対応で忙しいから臨時国会は開けないというのは間違いで、コロナだからこそ、権力の暴走や悪用を防ぐために、行政府はより強く監視される必要があるのだ。菅首相がコロナ対応に専念するための総裁選不出馬ならば、なおさら臨時国会は開かれるべきだった。
ところで、日本は議員内閣制を採用している。議員内閣制では通常、議会の多数派の中から政府のトップが選ばれ、政府と与党が一体となって政権を担う。アメリカ大統領制のように、大統領の出身政党と議会の多数派政党が異なったり、一致している場合でも大統領と議会がそれぞれ独立の意志をもって行動したりするようなことはほとんどない。従って、議員内閣制では行政権と立法権の分離が形骸化してしまう危険性がある。
そこで重要なのが野党だ。野党が実質的に国会による政府与党のチェック機能を担う。さらに野党は、国内の少数意見も代表している。53条が、総議員の4分の1という比較的低いハードルになっているのも、政府と議会多数派が一体となって、立法府のチェック機能を嫌がり国家を開かないようにすることを排除するためだ。憲法は多数の独裁を許さない。この点でも、臨時国会を召集しない政権がいかに罪深いかが分かるだろう。
コロナは行政府と立法府が共同で対応すべき問題
刻々と変化するコロナ情勢に対して、国家は機動的な対応を迫られている。その対応については、立法措置や予算措置も含まれる。法律や予算について、唯一の権限を持つのが国会だ。従って、コロナについては行政府と立法府が協働するかたちでの政治が求められる。加藤官房長官は、コロナ予備費がまだ残っていることを国会を招集しない理由のひとつに挙げた。しかし、行政府が膨大な予算の使途を国会の同意なく自由に決定するのは、本来の立憲政治に反する。予備費を使う場合でも、出来るだけ国会の議論を介在させたほうが手続きとして望ましいのに加え、GoToキャンペーンのような愚策に貴重な予算が使われないための歯止めも必要だ。
さらに、現在の全国的なコロナ感染の拡大を止めるための対策を打ち出す必要がある。その際、過去2回の緊急事態宣言にみられる、感染者が十分に下がりきっていないのに行動制限を緩めたことにより、急激な感染爆発を招いたという反省が必要だ。今度こそ感染者数を限りなくゼロに近づけるため、強力なロックダウンを行わなければならないかもしれない。そうなれば、その補償のための補正予算が必要となる。国会を開かなければロックダウンをするかどうかすら議論できない。
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