コラム

お金のネガティブな印象と悪しき日本の「頑張りズム」

2021年03月11日(木)11時25分

面白い例え話がある。明治から大正にかけて、馬や人力車に代わる新たな移動手段として蒸気機関車が普及し始めた。当然、人力車の利用者は激減する。苦境に立たされた車夫たちは、腕立て伏せなどのトレーニングで筋肉をつけ、蒸気機関車に対抗しようとしたという。

蒸気機関車とスピードを競っても人間に勝ち目はないわけだが、当時それは常識ではなく、多くの人は「頑張れば何とかなる」と考えていた。藤野氏は「今の日本でも、こんな笑い話のようなことをしている可能性がある」と指摘する。

一方、31歳の若さでIT業界の第一線で活躍する竹谷氏は、意外にも「頑張ることは苦手」と話す。

「やらなくていいことと、やらなくてはいけないことを明確に分け、『サボる』ことを目標としてきた。怠惰であることを自覚している人は、怠惰にならないような仕組みづくりと、緩急をつけることが大事」

緩急のつけ方、つまり効率や生産性、付加価値の上げ方を身につけるためには最低限の経済知識が必要だ。

もちろん、経済を学べば誰もがお金持ちになれるわけではない。しかし、お金に支配されずにうまく付き合いたい人は、まずはお金のことを「知る」必要があるだろう。

構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
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プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

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