コラム

株価が上がっているのに、「価値の下がっているモノ」を貯め込んでいる日本人

2021年02月26日(金)12時05分

「日本人は、大切な資産である株式を喜んで投げ出している。自分の身体で労働を提供して、おいしいところだけ外国人に持っていかれている」と、藤野氏は説明する。

つまり、日本人は労働対価をもらうだけの労働者に過ぎず、株高の恩恵に預かれるのは外国人だけということだ。

そもそも日本人は、株式を「資産」ではなく「博打」の対象だと考える傾向が強い。そのため、家計の金融資産はいまだ現金・預金が半分以上を占める(日本銀行調査統計局「2020年第3四半期の資金循環<速報>」)。

「格差は政府ではなく、自分たちの行動で広げてしまっているもの。お金をただ抱えているだけでは増えないどころか、むしろ価値が減っている。私がいま一番懸念しているのは、見えないうちに、日本人の生活がどんどん貧乏になっていくこと」

「大量の現金を手元に抱え込む意味はまったくない」と断言する藤野氏自身の金融資産は、なんと株式の割合が95%。気鋭のプロ投資家は、日本の株高に貧困と格差の深刻化を見て警鐘を鳴らしている。

構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
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プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

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