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ポランスキー監督「拘束」の心地悪さ
試写会に姿を見せたポランスキー(07年5月) Yves Herman-Reuters
映画『チャイナタウン』や『戦場のピアニスト』などで知られるロマン・ポランスキー監督は、30年以上もアメリカに足を踏み入れていない。この映画界の巨匠は、かつてロサンゼルスで起こした淫行事件で現地当局から指名手配を受けていた身だ。
だが長年に渡って逃れ続けられた運も尽きたのか、現在、ポランスキーはロサンゼルス郡検察の求めに応じたスイスで身柄引き渡し手続きを待つ憂き目に遭っている。
ポランスキーは9月27日、チューリッヒ映画祭に出席するため、住まいのあるフランスを出発。チューリッヒ国際空港に到着した直後にスイス警察当局に拘束された。スイスはフランスと違い、ポランスキーのような人物についてアメリカと身柄引き渡し条約を結んでいる。
1977年、ポランスキーはロサンゼルスで当時13歳だった少女と性的関係をもったことを認めた。少女はその後、自ら名乗り出て個人的には彼を許していると公の場で発表していたが、検察による訴追が取り下げられることはなかった。
ロサンゼルス郡検察当局のサンディー・ギボンズ広報官は、今回の件に関してニューヨーク・タイムズ紙に、こう語った。
「ポランスキーが、アメリカと身柄受け渡し条約を結ぶ国に入国を計画していると連絡を受けたときは、いつでも外交ルートを通じて逮捕状を送ることになっている」
身柄引き渡しの観点からみれば、ポランスキーのケースは特殊なものではないのだろう。だが物議をかもすものではあることは確かだ。
ロサンゼルス郡検察は、多忙な映画監督の渡航を常に監視し、多くの映画祭に足を運ばすにビデオ出演を選ぶポランスキー逮捕のチャンスをずっとうかがってきた。その執念は、実に興味深い。
とはいえ、ポランスキーがセレブだということを差し引いても、この拘束劇がこれほど不条理に思えてしまうのはなぜだろうか。
おそらく私たちは、9・11後の世界で「身柄引き渡し」という言葉を、国家安全保障にかかわる「今そこにある危機」と勝手に結びつけるようになっているのかもしれない。
──クリスティーナ・ラーソン
[米国東部時間2009年09月28日(月)11時18分更新]
Reprinted with permission from "FP Passport", 29/9/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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