コラム

地域活性化アイデアで生まれ変わる廃校、少子高齢化進む農漁村に新たなビジネスチャンス

2016年06月14日(火)20時29分

 廃校になってしまった学校はどうなるのか。人がいなくなると建物はあっという間に荒れてお化け屋敷みたいになってしまう。子供はいなくても、学校の建物は地域の財産として、地域住民のために使いたいものだ。放置するのはもったいない。

 2013年からソウル市は、ソウルから車で2時間以内の田舎の廃校を借りて、ソウル市民のためのキャンプ場を運営している。ソウル市が運営する市営キャンプなので利用料も安い。4人家族で1泊当たり約2000円あればキャンプ場に入場し、テントやマットレス、ピクニックテーブルまで借りられる。おかげでソウル市民にとても人気があり、常に予約がいっぱいである。ソウル市は毎年廃校を1校ずつ借りて、キャンプ場を増やしている。帰る田舎がない都会生まれの親が子供を連れて行く憩いの場になっているそうだ。ソウル市は2018年まで廃校キャンプ場を20ヵ所に増やす計画である。廃校キャンプ場がオープンすれば、その周辺地域のお店や食堂の客も増えるので地域経済も潤う。

 ソウルから電車で1時間ほど離れた安山市は、2006年から地元の廃校を「英語村」に改造している。学校の敷地に入ったらそこはアメリカ、という設定で、英語しか通用しない村で生活するという英語教育プログラムである。


安山市の英語村での取り組み

 学校の入り口が入国管理局、さっそく英語で入国審査を行い、英語村パスポートにスタンプを押してもらって入場。廃校の教室はスーパーやお料理教室、病院、旅行代理店などに模様替えしてあり、子供たちは英語を使って生活する仕組みになっている。主に小学校1〜6年生が、放課後や夏休み・冬休みに参加する。英語村は全国各地にあるが、ここは安山市営なので参加費が通常の3分の1程度。そのため安山市英語村のホームページに参加者募集の告知が出ると、定員の100倍以上が殺到して1分足らずで募集終了、大騒ぎになる。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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